【技術】試合で勝つための、意義ある負けとは -ラリー派?ノットラリー派?-
卓人の皆さんこんにちは。ムーです。
昨日Tリーグが開幕しましたね。
きらびやかな演出、熱の入ったプレー、歓声。
Jリーグが開幕した際の演出を今でも見かけるように、未来に語り継がれる開幕戦になったのではないでしょうか。
しかし、まだ無から1を作ったに過ぎず(これが一番エネルギーが必要なのは重々承知ですが)、これからが勝負ですね。
1ができればあとは足し算、掛け算的にどんどん成長して欲しいです。
このリーグが成長していくためには今後さらなる仕掛けやトライが必要になってくるでしょう。
と、いうことで、今日は”成長していくためには今後さらなる仕掛けやトライが必要”という点について卓球の上達に置き換えてお話ししたいと思います。
皆さんはこのような場合どのような思考になりますか?
・一生懸命ラリーの練習しているのに試合で打ち合いに勝てない
・新しい技術を覚えている最中だが、どの段階で試合に使えばいいかわからない
このような質問や悩みをよく聞きますが、では「どうしたらいいと思う?」と尋ねると皆さんよく考えてくれ、8割このような答えが返ってきます。
・一生懸命ラリーの練習しているのに試合で打ち合いに勝てない
→ ボールが軽いからもっと威力のあるボールを打てるように練習します。
→ 威力のあるボールを打つための体の使い方、鍛え方を教えてください。
・新しい技術を覚えている最中だが、どの段階で試合に使えばいいかわからない
→ 練習で9割ミスが無くなってきたら試合で使おうと思います。
このような答えに対して否定はしません。出来る限り彼、彼女たちの答えに対するアドバイスをします。
しかし、付け加えて”もっと早く試合で結果が出る”考え方についてもアドバイスします。
中には聞き流しているな、と感じることがありますが、やはりそのような方はなかなか結果が出るまで時間がかかっているように思えます。
それでは、試合で勝つためにどのような意識で練習すると良いでしょうか。
※以下「卓球のワールドクラスの試合におけるラリーの特徴-ラリー中の打球回数に着目して- 著者:吉田和人氏ら」を引用させていただいております。
①一生懸命ラリーの練習しているのに試合で打ち合いに勝てない
→ラリーに持ち込まない卓球で5球目までに点を取る方法を練習しよう
そもそも質問に対する答えになっていないのですが、”試合で勝つため”、という目的に対しての答えとして提示します。発想の転換を勧めます。
ワールドクラスの選手同士の試合において、得点までのラリー数は分布にすると1〜5球目が最も多く約7割はこの間に得点が決まる、というデータがあります。(ロンドン五輪の個人戦、団体戦の試合から集計されています)
トップ選手でも5球目までに勝負がつくケースがとても高いのです。
ということは、トップ選手はやはりいかに効率よく得点するか、という戦術を重視していることが分かると思います。
卓球は先に11点を取ればいいので、無理に引き合いに持ち込んで戦う必要はないのです。そのような打ち合いを楽しむ、というのももちろん良いと思います。
しかしそれで負けてしまっては自己満足で終わってしまいます。
この5球目までに点を取る戦い方をする上で非常に重要になってくるのがサーブ・レシーブの技術です。
■サーブ練習する上でのポイント
まずはご自身が試合中に使うサーブを5つほどに絞り込みましょう。
以前、”サーブで点が取りたい時に使うサーブ”についてお話ししましたが、それは外して下さい。(もちろん確実に点が取れるように練習は繰り返ししましょう)
ura-omote-pen-shake.hatenablog.com
この絞り込んだ5つのサーブをランダムで出した際、相手はとっさにどこに返球してくる確率が高いかを各サーブしっかり練習の時に把握しておきましょう。
これはパートナーのレシーブ技術によって変わるため、できれば複数人の方を相手にしたほうが良いです。
ポイントは”同じサーブを出し続けない”、”相手にサーブの種類を伝えない”、”なるべく多くのパートナーで試す”です。
この練習を行うことで”このサーブを出すとフォア(もしくはバック)に返って来やすいな”というデータを自分で持っておくことが非常に重要です。
※過去記事
ura-omote-pen-shake.hatenablog.com
注意していただきたいのは、これはサーブ練習と同時に、3球目攻撃で点を取るための練習であることを忘れてはいけません。
「このサーブをバックに出すから、フォア側にツッツキして、それをクロスに打つから」という3球目攻撃の練習をよくされている方は特に取り入れてみてください。
要するに試合でそのような固定したケースがどれだけありますか?その要望に対して相手が無理なレシーブをしていませんか?ということです。
実際にレシーブコースの指示を受けた際に、「ここには返球しないでしょ」と思うことは多々あります。
このように頭でケースを決め込んで固定してしまうより、実践的なデータを元に相手のレシーブコースを予想する方が待っておく領域も広くなり、気持ちにも余裕が出ます。
また、サーブを出した後は態勢をニュートラルに戻し、3球目攻撃ができる状態まで体を動かすことを意識してください。
■レシーブ練習をする上でのポイント
レシーブ練習する際、まずは相手の回転に合わせて台に入る角度を知ることが重要ですので、特に初級者の方は回転やコースを固定して出してもらい、返球する練習をしましょう。
中級者以上の方は、先ほど述べたサーブ練習を相手にしてもらい、それをレシーブしましょう。
ランダムにサーブが飛んでくると次第に”自分はこの回転、コースはここにレシーブしているな”というデータが集まってきます。
ここで相手には3球目攻撃してもらうところまでを要望すると良いです。
こうすることで、"このレシーブ精度だと先に打たれる"、という基準を作ることができるためです。
ここからは3つのパターンに分かれます。
1つ目は打たれないレシーブをする。です。
例えばストップ技術が有効です。(ストップ自体はまた別の機会に説明します)
相手に強いドライブを打たれないようにレシーブを2バウンドさせる練習をしましょう。
ストップすればストップで返される、もしくはツッツキ、最悪でも狙われていない限り強いフリックをされることは無いため4球目を狙って強打しましょう。
この時はじめは相手のサーブの回転を使ったり、逆らったりする必要は無いのでまずは回転に逆らわずに低く、短いストップをする事に拘りましょう。
上回転系のサーブは強打する意識では無く、深く返すことを意識しましょう。
2つ目はあえて3球目を相手に打たせてカウンター。です。
これは特に相手のサーブが長く、ストップがしづらい時に有効です。
この時注意する点は、"鋭く、切れたツッツキ"をするという事です。
以前ツッツキは攻撃の第一歩という記事で紹介した方法です。
ura-omote-pen-shake.hatenablog.com
合わせて返すだけでは相手に気持ちよく3球目を打たれてしまいます。
出来れば相手から遠いサイド、もし相手が台の中心で構えているようであればミドルを狙いましょう。
これを相手に3球目ループドライブさせ4球目をカウンター攻撃です。
待ちはクロスで大丈夫です。ミドルの場合はミドル意識で待ちましょう。
上回転系はやはり深く、相手のいない方へ、が鉄則です。
3つ目はチキータ、フリックで2球目攻撃です。
これは近年トップ選手が多様する技ですよね。
とにもかくにも"レシーブでも先手を取る"ことが最大のメリットです。
この際に重要なのはやはり相手のいないコース、また深くに返球することです。
相手もチキータ待ちの可能性がありますので入れるだけではなくコース、深さを意識しましょう。
また近年のチキータの乱用(笑)に伴いロングサーブの重要性も謳われていますので、とっさの対応力も普段から鍛えておきましょう。
3つ紹介しましたが、前陣でのラリーが得意な方はチキータ。あまり早いピッチが得意でない方はストップ、コースを突いた鋭いツッツキを鍛えると良いと思います。
そしてこれらの技術をどのタイミングで試合に適用するかということに移ります。
②新しい技術を覚えている最中だが、どの段階で試合に使えばいいかわからない。不安。
この答えとしては、練習してある程度体が覚えたものは少しでも早く試合で使いましょう。です。
そして、試合ではどのパターンで得点するかを決め、どんどん先手を取る意識で試しましょう。
はじめはバタバタしてしまったり、ミスをしてしまうかもしれません。
それでいいのです。
試合で使える技術になっているかどうかは試合でしか確認できません。
先を見据えた意味のあるミスとして捉え、どんどん使って下さい。置きにいっているようではいつまで経っても試合で使える技術にはなりません。
もしこれで負けてしまったとしても十分意義のある試合内容になると思います。
また試合で出来ない技術が明確になり再度見直すことで、練習に身が入るはずです。
先日のTリーグ開幕戦において解説の宮崎氏も「試合で使える技術かどうかは、試合の緊張感の中でやってみることでしか判断できない」とおっしゃられていました。
まさに私もそう思います。
どれだけ練習で100%ミスしない技術でも試合の独特な雰囲気の中ではまた別です。
■今日伝えたかったこと
・ラリー戦に持ち込むのも良いですが、サーブ・レシーブを磨き、3,4,5球目で得点できるパターンを持ち、武器にしましょう
・練習で覚えた技術は、恐れることなくどんどん試合で使いましょう
ドライブ、サーブなど単独の技術だけでなく、得点を取る展開を作り、体で覚えておくことは相手を術中にはめる上でもとても重要です。
是非トライしてみてください。少しでも参考になれば幸いです。
それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。
ムー
【雑談】用具の特性とは?ラケットとラバーの組み合わせ
卓人の皆さんこんにちは。ムーです。
先日ラケットとラバーのそれぞれの持つ特性についてお話ししました。
今日はそれぞれの特性を知った上でどのような組み合わせが良いのか、という点について考えてみようと思います。
これを読んで頂くと「このラケットにこのラバーは合いますか?」という質問はあまり意味をなしていないこと、質問した相手を困らせることが分かると思います。
ura-omote-pen-shake.hatenablog.com
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まず皆さんはどのような組み合わせでラケットを作り、使っているでしょうか。
今や大きなショップなどに行くとラケットもラバーもとてつもない種類が存在し、選ぶのが大変だろうなという印象があります。
好きなラケットに、好きなラバーを使いたい、というのは痛いほどよく分かります。
しかし実際の所はやはり組み合わせで特性が大きく変わってしまうので慎重に選びたいところです。
実際に、良い組み合わせを選ぶと”スイートスポット”を最大限使え、ラケットとラバーが綺麗に融合した、使っていてストレスの少ないラケットを作ることができます。
まず”スイートスポット”という言葉について少し解説します。
スイートスポットとはいわゆる”芯”と同じ意味として捉えて頂くと良いと思います。
ここに当てれば綺麗なコントロールした打球が打てる、というエリアの事を指します。
打っていて、「あ、端っこの方に当たったな」「中心から外れて当たってるな」などと感じた経験はどなたでもあると思います。これはスイートスポットを外していると言えます。
また、打っていてラバー(もしくはラケット)だけで飛ばしていてラケット(もしくはラバー)と上手くマッチしてないなと感じることもあると思います。
ではスイートスポットとは何で決まってくるものなのでしょうか。
これはラケットの面の形状や大きさ、特殊素材など材質によって依存するものと言われています。
ラケット面が広ければスイートスポットが広くなる代わりに打球の衝撃を吸収しやすい。(飛びにくい)
カットマン用のラケットや守備型のラケットはこちらの部類です。
逆にラケット面が狭い、特殊素材などが入るとスイートスポットが狭くなり、打球の衝撃を反発しやすい。(威力のあるボールを打ちやすい)
攻撃用ラケット、特に日本式ペンホルダーなどはこちらの部類です。
ここまでをまとめると、”スイートスポットはラケットで決まる”となります。
また、スイートスポットは円形に存在しており、その中心を真芯、その周辺を芯とも呼べます。最低でも芯で当てないと質の高いボールは打ちにくいです。
そして最適なラバーとの組み合わせにより、このスイートスポットを最大限に使えているかどうか(芯の端の方まで使えるか)が決まるという話になってくるのです。
ある日本卓球界のレジェンドは”組み合わせでスイートスポットが広がる”と仰られていました。
なるほど、とその時はなんとなく納得していましたが、そこから少し深掘りし、次に書く内容のように理解を深めることができたような気がしますので紹介します。
ここからは私の解釈です。
スイートスポットを広くする=勝手にラケットとラバーの組み合わせで広がる
ではなく、
良い組み合わせによってスイートスポットを最大限活用する、ということです。
逆を返すと、組み合わせが合っていないと、もともと存在するスイートスポットを十分使えずに狭くなり、使いづらさを感じるということだと考えています。
そこで重要になってくるのは、”しっかりラケットの芯(スイートスポット)までボールのエネルギーを伝えることができているか”ということです。
すなわち皆様のインパクトはどの程度ですか?
という点がとても関係してきます。決してラケットとラバーの組み合わせだけでは合う合わないは判断できないのです。
例を出してみましょう。
一流のトップ選手(攻撃型)はスイートスポットの狭い攻撃的なラケットを使用するケースが多いと思います。
そして、ラバーは我々よりも硬いものを使用する傾向にあります。
この組み合わせは飛距離、球質(スピード+スピン)重視の選択ですよね。
これはインパクトがしっかりしているため、しっかりとラケットの芯の端までエネルギーを伝えられる技術があるからこその選択です。
スイートスポットを最大限利用できている、ということになります。
特に顕著なのは中国選手ですよね。
カチカチの中国ラバーを使うためには筋力、インパクトが必要と言われるのは、その打ち方をしないとラケットのスイートスポットを使えず強いボールが打てないから、となります。
この一流選手が使う組み合わせをインパクトのあまりない選手が使うとどうなるか。
少し考えてみてください。
インパクトが上級者ほど強くない選手は、どちらかというとラバーで擦り飛ばす傾向があります。
そこに硬いラバーを使うと、ボールのエネルギーがラケットまでなかなか到達しません(しづらいです)。
ラバーだけで飛ばしているような気持ち悪い(いわゆる合ってない)感覚に陥ります。
ですので少し柔らかめのラバーで、インパクトが弱い、擦ってもボールが食い込みラケットまでエネルギーを伝えられるものを選ぶとスイートスポットが有効に使える、ということになります。
また、フォアよりもバックの方がより擦り飛ばす傾向にあるので、フォアより柔らかく、という選択になります。
この考え方をすると、インパクトが強ければ、フォア、バックともに硬いラバーを使用してもいいのです。
ここでインパクトが強い方が柔らかいラバーを使ってしまうとどうなるかを考えてみましょう。
ラバーは適切な変形量というものがあります。変形しないと反発力も生まれませんが、逆に変形しすぎると今度は変形によるエネルギーロスが生じてしまい、これも質の高いスピードやスピンを欠いたボールとなってしまいます。
これは逆効果で非常に勿体無いです。
どのラケットにどのラバーが合う合わないという話ではなく、皆さんのインパクト量に合わせてラバー硬さの調整を行い、最大限スイートスポットを使いましょうということです。
ですので「このラケットにこのラバーは合いますか?」という質問に対しての私の回答は以下の通りです。
”組み合わせは何でも合うと思います。ただし、あなたのインパクトによって合うかもしれないし、十分に性能が引き出せないかもしれません”となります。
こればかりはその方の打ち方を見ないと判断できないのです。
ただし1つだけ言えるのは、初級者はまずはスイートスポットの広い(ラケット面の広い)ラケットを使い、ラバーは柔らかいものを使うと良いということです。
それでは、自分のインパクトを知るためにはどうしたらいいの?ということになります。
自分のインパクト量を知る上でチェックしてもらいたい点は、ドライブを打つ際、手に木の振動する感覚があるか、インパクト時の音です。
木の振動する感覚がある方はインパクト時に木に当たっているカツっ音がします。
この方はまずは中程度の硬さのラバーを選ぶと良いと思われます。
それでもまだラバーの変形が大きいと感じる方は硬いものにしてみるのも良いと思います。
またラバーで擦り気味の方はインパクト時、あまり手に木の振動する感覚がなく、キュッとラバーで擦る音がするはずです。
この方は柔らかめのラバーを選ぶと良いと思います。
あとは同じ硬さでもボールが上に上がりやすいもの、スピード重視のものスピン重視のものなどご自身の目指すプレースタイルに合わせてチョイスしたら良いですね。
お近くに卓球専門店などある方はどんどん用具のプロである店員さんに聞きましょう。
あまり限定した質問をするより「中程度の硬さでスピン重視のもの」などと言えば適切なラバーを紹介してくれるはずです。
■今日伝えたかったこと
・ラケットのスイートスポットはラケット面の広さ、材質で決まる。
・スイートスポットを最大限引き出すには自身のインパクトに合わせた硬度のラバーを選びましょう
・ご自身のインパクト量を知るためにはインパクト時の感覚、音をチェックしましょう
今日は以上になります。
皆さんも上級者のようなインパクトの強いドライブが打てるようになれば、一流選手などと同じラケット、ラバーを使いこなせます。
憧れますよね。
次の機会にインパクト重視のドライブ、バックドライブの打ち方をご紹介したいと思います。
それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。
ムー
【雑談】用具の特性とは?ラケット編
卓人の皆さんこんにちは。ムーです。
先日ラバーの特性について書かせてもらいました。
ura-omote-pen-shake.hatenablog.com
ラバーに自分のインパクト量を合わせるのか?
もしくは自分のインパクト量に合うラバーを探すのか?
というお話でした。
最終的にはラケット、ラバーの組み合わせになってくるのですが、書けたらそこまで説明したいと思います。
まずはラケットの特性についてです。
ラケットはどのように選びましょう。
となりますが、まずはラケットの種類やその特徴について少し解説したいと思います。
今も昔も大きくは変わっていないですが、木材のみでできているラケット、特殊素材が入っているものの大きく2分類に分かれますよね。
さて、歴史的に考えてみるとどうでしょう。
だいたいのイメージは付くかと思いますが木材のみでできているラケットがそもそもの始まりです。
そこにもっと反発力を高めて飛ぶようにしたい、というニーズに応えて登場したのが特殊素材です。
これからお話しする概念を頭の片隅に置いて頂くことでラケット選びの際、どのようなプレーがしやすいのかイメージしてラケット選びの参考にして頂けると嬉しいです。
それでは木材から順に追っていこうと思います。
今や木材ラケットと言えど、単板、3枚、5枚、7枚といったように種類があります。
また、ヒノキやスギなど木材種の違いがありますね。
まず、そもそものお話しです。
卓球は相手が打ったボール、いわばエネルギーを持った状態で飛んできて、自分のラケットに当たります。それがラケットやラバーの反発力によって飛んでいきます。
ここでエネルギーという考え方がポイントになります。
イメージとしてはゴムボールをそっと床に落とした時、手まで戻ってきますか?叩きつければ戻ってきますが、そっと離した程度ではまず戻ってきません。
これはボールが床と衝突した際にエネルギーを一部失う(音や振動などに使われる)ためです。
卓球に当てはめてみましょう。
飛び方が強い(失速しづらい) → エネルギーをロス(失う)しにくい
飛び方が弱い(失速しやすい) → どこかでエネルギーをロスしている
一番エネルギーをロスしないのは単一の素材を使った場合になります。
そうです。単板が最もエネルギーをロスしにくいのです。
では合板はどこでエネルギーをロスしてしまうかというと木と木のつなぎ目です。
世の中には合板ラケットのような複合素材(素材は様々ですが)によってできている製品が多々ありますが、それらほぼ全てが接合部分のエネルギーロスを生じています。(それが良い場合もあれば悪い場合もある)
しかし単板には接合部がありません。ですので受けたエネルギーをラケット全体で一旦吸収し(溜め込み)、その後反発力として再度エネルギーをボールに伝えます。
これが”しなり”というものです。
一方で合板は、それぞれ硬さの違う薄い木板や木よりもガチガチに硬い接着剤が組み合わさった複合物です。
層によって硬さが違う、また間に木とは比べものにならないほど硬い接着剤層が存在するため硬さとしてとてもいびつな構造となっています。
実はこのいびつさがエネルギーをロスさせる大きな原因なのです。
では合板は悪いことばかりなのかと言うと、もちろんそうではありません。
硬さは合板の方が硬くなります。
単板の方が柔らかいです。
これはボールにラケットをぶつけたとき、当たってから飛び出るまでの速さ(初速)や飛距離に効いてきます。
硬い方が初速が早く、柔らかい方が遅い、という具合になります。
また、飛距離も硬い方が遠くまで飛びやすいです(伸びは度外視して)
ここまでをまとめます。
木の枚数が少ないほど球持ちがよく、打ってから遅れて勢いのあるボールが飛んでいくイメージ。
→じっくり球を持って回転をかける時間がある。初速は遅いがエネルギーをロスしにくいため相手コードで失速しにくい。回転系の技術向き。
木の枚数が多くなるほど球持ちはしにくくなり、打ってすぐに跳ね返す初速の早いボールが飛んでいくイメージ。
→回転はさほどこだわらず、ピッチが早くなる。エネルギーロスを起こすのでボールが伸びにくい。スピード系の技術向き。
ここまで大丈夫でしょうか。
そして特殊素材が出てきた理由ですが、上の説明を理解して頂くと自ずと答えが出てきます。
合板の長所をさらに活かすために、硬い素材を入れ込む。です。
合板のウィークポイントであるエネルギーロスを抑える方法はないのか?と考えますが、これは無いと言っていいと思います。
ここで忘れてはいけないのが、卓球のラケットにはラバーが貼られているということです。回転はラケットよりもラバーの方の寄与が高いのでそちらと回転をかける技術でカバーすることができるのです。
ですので、基本的にはラケットは弾む合板(特殊素材入りも含む)の方が良いラケットとされます。
ただし一つだけ例外を伴う例(技術)があります。
それはペンホルダーのショート技術です。
ペンのショートは回転をかける要素はほとんどありません。ですので合板だとブロックで止めることはできても勢いのあるボールになりません。失速し、狙い撃ちされてしまいます。
一方単板は先ほど述べたようにエネルギーをロスしにくいので、失速することなく勢いのある、伸びるボールが打てます。
ですのでペンで、かつ片面のみの上級者は単板ラケットを使う傾向にあるのです。
さらに、単板のこだわりでヒノキという素材をよく聞きます。
木の素材についてですが、ヒノキは繊維が詰まっているためエネルギーロスをしにくく、スギなどは繊維が荒いためややロスしやすいです。
繊維が荒いことで潰れやすく(変形しやすくなるため)そこで若干のロスが生まれます。
しかし、スギは軽いという特徴があるためラケット選びのポイントの一つにもなりますね。
■今日伝えたかったこと
・木の枚数が増えることで起こるメリット
→ラケットが硬くなりボールの初速が上がる。飛距離が伸びる。
・木の枚数が増えることで起こるデメリット
→反発が強くなりボールを掴みにくくなる。ボールの伸びが出なくなる。
・木の枚数が減ることで起こるメリット
→ボールを掴むため回転系の技術に有効、エネルギーロスしにくい分相手コートで失速しにくい。
・木の枚数が減ることで起こるデメリット
→反発力が弱く初速が遅くなる。
少し長くなってしまったので、ラケットとラバーの組み合わせについては次の機会に書きたいと思います。
それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。
ムー
【技術】ツッツキは攻撃の第一歩
卓人の皆さんこんにちは。ムーです。
今日はまず皆さんが基本的な打ち方を覚える上でフォア、バックの次に練習するであろうツッツキについての意識、技術習得方法について説明していきたいと思います。
初級者の方は試合になれば必ず使う技術であるために一生懸命練習していることとと思います。
一方で中級者の方は練習時、ツッツキについてもしっかり時間をとって、かつ目的を持って練習していますか?
試合などを見ていると練習はしているんだろうけど、、上手いドライブやバックハンドを持っているのに生かしきれてないなと感じることが多々あります。
これが上級者の試合になってくるとツッツキの重要性をとてもよく理解、実践されていることがよくわかります。
私の考えとしてツッツキは①とにかく入れる②攻撃の第一歩の2パターンがあると思っています。
少し脱線しますが、とあるツッツキがとても上手な(中級者。爆発的な攻撃力はない)方がおられ「ツッツキで勝てたよ」と言われていました。
この意識感覚はとても試合で勝つために重要です。
練習を見てみると、綺麗にツッツキを使い分けていることが分かります。
一つはわざと詰まったような体勢、タイミングでの入れるツッツキ。
一つはバウンド直後をガツっと捉え、鋭くワンコースでありながら相手を仰け反らせるツッツキ。(打ち方は後ほど)
アドバイスを実践してくれているなと嬉しく思い、もう少し様子を見ていると、今度はオールでのツッツキ練習を始めました。
するとツッツキで相手がノータッチでボールが抜けていく光景がちらほら。
もしくは相手も入れる事しかできず、浮いて返すため、パチン。
(普段の練習から甘く返ってきたボールはツッツキ練習であろうと強打するように伝えているため)
この方はツッツキを繋ぎという意識ではなく、攻撃のための準備として捉えています。
それでは話を戻します。
先ほどの例にも示したように、破壊力のさほどないフォアやバックでも相手を崩すことができれば得点できます。
また、どれだけ一発で抜けるドライブや破壊力抜群なバックハンドの技術を持っていても”それを使える状況”を作れないと意味がありません。
特に相手が上級者よりになってくればくるほど、繋ぐツッツキは相手にとって打ちごろなボールとなってしまい、先手を取られてしまいますよね。
先手を取られまいとツッツキをせず、無茶打ちしてミスをしてしまう、窮地に立たされる、と言うような経験はないでしょうか。
そのような方はツッツキをもう一度練習しましょう。
チャンスボールが作れることで試合運びが飛躍的に楽になるはずです。
これが攻撃の第一歩と考えている所以です。
■ツッツキ技術の習得について
①とにかく入れるツッツキ
まずは下回転に対しての面の出し方を覚える意味で相手のツッツキに対して当てれば返る感覚を掴みましょう。
このツッツキはバウンド直後や頂点越えてからなど様々な打球点で打ち返すことを意識してみてください。
この際うまく返球するコツは相手のツッツキの際の面と同じ角度を出すことです。
これをバック、フォアで行えるようになりましょう。
ワンコースができるようになれば全面ランダムでツッツキ合いをしましょう。
この際、浮いて返ってきたボールは攻撃し、浮いて返してしまったボールは攻撃してもらいましょう。試合感覚も同時に鍛えられます。
これはどちらかというと苦し紛れの状況で行うツッツキとなり、体勢を崩されても返球できる技術として必要になります。
②攻撃の第一歩ツッツキ
まず攻撃的というのはどのようなボールかというと、返球タイミングが早い、ボールが低い、切れているという3点だと考えています。
・タイミングを早くするには
フォアやバック打ちの際も述べましたが、ピッチを早くするためにはバウンド直後を捉える感覚を覚えましょう。
ボールの勢いを使いつつ、腕の力は使わず安定してピッチを上げられるためです。
・ボールを低くするには
これは練習の際の意識が重要です。とりあえず入れるツッツキのように返すことに重きをおくのではなく、狙いをしっかり持って返球しましょう。
狙うポイントはネットからボール2個分上に棒があると想定し(手の空いている人がいればボール拾い用の網の棒などを持っておいてもらうと良い)、ネットと棒の間を通すイメージです。
これは先ほどのタイミングを早くするためには、のところに書いた”バウンド直後を捉える”という点が非常に重要です。
打点を上げてしまうと、よほどのボールタッチ感覚がなければ、どうしても腕でコントロールしようとしてしまうため安定しません。
・切れているツッツキにするためには
ボールに回転を加えるためには擦るという動作がどうしても必要です。
一見難しいように思いますが、難しく考えなくて大丈夫です。
止まっているボールを打つ場合は擦るという大きい動作が必要になってきますが、飛んでくるボールに対しては違います。
これもバウンド直後を捉えることが非常に重要です。
バウンド直後にボールを捉えたのち、下の絵のように少しボールの下にラケットを滑り込ませることで容易に回転を与えることができます。
滑り込ませる=切るという動作が入っていますよね。
これを伝えると多くの人が擦ることを意識しすぎてバウンドから引きつけて手首で打とうとしたり、ラケットにぶつけるような格好で切ろうとします。
ですが、引きつけるほど回転を掛ける、相手の台に収めるという点で難しくなります。
これはバウンド後のボールのスピードとスピンの関係を理解する必要があります。
大抵の場合、飛んできたボールがバウンドして飛距離とともにスピードは落ちる、スピンは増えるという点です。(プレー領域内では)
バウンド直後というのはスピードは速いもののスピン量は少ないです。
相手のスピードを利用し、スピンの少ないタイミングで回転を掛け返すことが容易にスピン量を上げるポイントになります。
■補足技術(回転の上書きツッツキ)
よく技術動画などでも紹介されていますが、相手のサーブが分からない、相手のナックルボールなどに対応する際、ツッツキで下回転にしてしまおうというものがあります。
これは上級者になればなるほどボールに回転を掛ける感覚が磨かれているためよく試合などでも見かけます。
※この感覚を身につけるためにはまずは②の技術を覚えましょう。
その後、上回転(ラケットに当てて飛んでくる程度)のボールをツッツキする練習をしましょう。
この際重要なのはやはりバウンド直後を捉えるという点です。
あとはラケットを下に滑り込ませる際に普段より切る感覚で力を込めましょう。
この際ラケットの木材に当たる「コン」という音がすると相手の回転の影響を受けやすくなってしまうため上手くいきません。
バウンド角度と合わせラバーだけで擦る感覚になるまで繰り返し練習してみてください。
これがいわゆる薄く擦るという感覚になります。
■今日伝えたかったこと
・攻撃を仕掛けるためのツッツキを覚えましょう
・低く、切れた、ピッチの速いツッツキはバウンド直後を捉え、ラケットをボールの下に滑り込ませる感覚を覚えましょう
・ツッツキはラバーで擦る感覚、木材の音が聞こえないような擦り方を覚えましょう。
近年特厚のラバーを使用している方が多く、当てればツッツキになってしまうため、入れるだけになっている方が多いです。
しっかりとツッツキ技術を習得し試合運びを楽にしていきましょう。
レシーブとなると少し話も変わってきますのでまた後日書こうと思います。
それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。
ムー
【雑談】用具の特性とは?ラバー編
卓人の皆さんこんにちは。ムーです。
少し肌寒くなってきましたが体調崩したりしていませんか?
これから一気に寒くなってくるかもしれませんので、大好きな卓球をするために一緒に体調管理はしっかりしていきましょう。
寒くなってくると言えば、皆さん卓球をする上での困りごとはありませんか?
ウォーミングアップが憂鬱、手がかじかんで序盤は試合にならない、、
『ラバーが硬くていつもと感覚が違う』
少し強引ですが結構多くの方が困っているのではないでしょうか。
最近ウォーマーも製品として出てたりしますね。(私はカイロを乗せてます)
寒いだけでなく、湿度が高い梅雨の時期など滑りやすいという声も聞きますよね。
実はひも解いて行くと、これらの性質を理解するとご自身に合うラバーも見つけやすく、また今合わないと思っているラバーも使い方次第で合うラバーになっていきます。
では、まず何故寒くなるとラバーは硬くなるのでしょう。
イメージはしやすいですよね、人間も寒いと体が硬くなる、ガムを噛んでるところに冷たい飲み物を飲むとガムが硬くなる。日常的に感じることですね。
ゴムはプラスチックの一種であり、周りの温度にあわせて大きく3つの状態に変化します。
ごく低温(-40℃前後)のゴム種類ごとにある固有の温度(ガラス転移温度)以下になるとガラスのようなパリパリな状態になります。
そして今度は高温になると柔らかくなり、融点(ゴムによって様々ですがざっと100℃以上)と呼ばれる点を境にドロドロになります。(卓球のラバーは特殊な薬剤によりドロドロにはならないようになってますが)
そして普段私たちが生活している上記の中間に位置する温度域ではゴム状態として存在しているのです。
※プラスチックはガラス転移温度が100℃付近だったりするものもあるので普段からカチカチです。
卓球のラバーもしかりで、いきなりパリパリになったりドロドロになったりするわけでなく、周りの温度に合わせて徐々に硬くなったり柔らかくなったりと状態変化します。
では、どうにもこうにも硬くなるのが嫌だ、と悩まれる方はどのようにすればいいでしょうか。
ゴム種類ごとにある固有の温度(ガラス転移温度)がなるべく低いものを選ぶと少しマイルドになると考えられます。
難しいですよね。
天然ゴム成分が多いラバーがこれに当たります。
詳細は難しいので割愛しますが、天然ゴムは実は最も優れたゴムと言われており、人工的に完璧には再現できないほど神秘のゴムなのです。
低温に強く、強度も強い。という特徴があります。
少しでも気温に左右されたくないという方は、お店の方にそう問い合わせてみると良いかもしれません。最近では各メーカーさんが宣伝文句として「天然ゴム成分」という表記をしているものも見かけます。
ただし、天然のものは大抵水分を含みやすい性質がありますので、今度梅雨時期は注意が必要です。
一般的なラバーは天然ゴム、人工的に作られた合成ゴムがブレンドされているのでそのバランスで考える必要があります。
現在の主流はテンションラバーでしょうか。使っている方も多いと思います。
テンションて何?緊張してんの?アゲアゲな状態なの?
これは輪ゴムで考えるとよくわかります。
ピンと張った輪ゴム、ダラーンと緩んだ輪ゴム、外から指で弾くとどちらが良く振動しますか?
ピンと張ったゴムですよね。
テンションラバーとは分子レベルでピンと張った構造をしているので外からの力に敏感に反応(振動)し、よく弾くのです。
そのテンションラバーでも「弾む」「弾まない」があるのはなぜでしょう。
これは外から力を与える側、すなわち皆さんがどのくらいの力をボールに与えているかが深く関係してきます。
先ほど振動という言葉を使いましたが、ラバーが振動するのはボールにラバーをぶつけた時です。
ラバーには外からの力(振動)を吸収してしまう(エネルギーロス)固有の領域を持っています。
吸収してしまうと弾まなくなる方向に働きます。
これが数多く存在するラバーにおいて異なるため同じ力で打った際、弾みが違うように感じるのです。
(この調整はゴムの配合や薬品による調整で差をつけられています※これが全てではないです)
同じラバーである人は「弾む」、ある人は「弾まない」となってしまうのはボールとラケットが当たる時の衝撃(すなわちインパクト)が違うためです。
ですのでご自身の今のインパクトに合ったラバーを選ぶのか、ラバーの性能を最大限引き出せる打ち方をするのか、2パターンのアプローチが存在します。
仮に今のインパクトで「飛ばないな」と思っても、インパクトを小さくしたり、大きくすることで飛ぶようになるはずです。新しいラバーを使う場合は幾つかのインパクト量でロスしないインパクト量を探してみましょう。
一般的には柔らかい(ソフト)ラバーは打つ力が弱くてもよく弾む一方で、ハードヒットしてもなかなか飛んでいかないといった具合になります。
硬さや食い込みだけで考えると後者の方もよく飛ぶはずですよね。でもそうではないのは衝撃を吸収してしまうエネルギーロスが生じているためです。
このラバーを使えるような打ち方にしよう、変えよう!
今の力で最大限のポテンシャルを発揮できるラバーを選ぼう!
あなたはどちらでしょうか。
少し難しい話でしたが雑談、豆知識として捉えてみてください。
■今日伝えたいこと
・寒さでラバーが硬くなるのが嫌な場合は天然ゴム配合量の多いラバーを選びましょう
・ラバーには固有のエネルギーロスを起こす領域があるため、効率よく力を伝えるためにはロスする領域を外したインパクト量を探しましょう。
以上です。
それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。
ムー
【技術】ボールタッチの感覚を身につけよう
卓人の皆さんこんにちは。ムーです。
これまで基本的なフォアとバックの打ち方について紹介してきました。
ura-omote-pen-shake.hatenablog.com
ura-omote-pen-shake.hatenablog.com
この考え方を基に練習してもらえると徐々に安定してくるはずです。
とはいえ、もっと早く短時間で上達にするためにはこれらの"打ち方"と同時に必要な技術があります。
それがボールタッチの感覚です。
素振りを毎日してスイングをしっかり体に覚えさせた。さぁ、台についてボールを打ってみました。
あれ?ボールが台に収まらない、ネットを越えてくれない。
となる方は大勢いらっしゃいます。
そこで最悪なのは”台に入れることを優先してしまう”ことです。
これだと大半は練習してきたはずのスイングフォームを乱して本末転倒なことになってしまいます。
ではなぜスイングはしっかりしているのに台にちゃんと入ってくれないのか、ということになりますが、これはボールを打球する瞬間の力(インパクト)の感覚を持っていないからです。
中級者の方でも実はボールタッチの感覚が身についていない方はいます。
思い出してみてください。試合会場等で隣からボールが転がってきました。
それが遠いところにいる方に返す際みなさんだいたいラケットで打ち返しますよね。
この時ちゃんと相手にストライク返球できていますか?
できていない方はこのボールタッチを再度訓練してみてください。プレーにも良い影響が出るはずです。
それではこの力加減の感覚を会得するにはどのようにすれば良いかという話をしていきたいと思います。
答えはボールを数打ってインパクトの力加減とボールの飛び方を覚えることです。
台について打つ練習をする前に遊び感覚のトレーニングがありますのでご紹介します。
①ボール突き
ラケット面を上に向け、その上でボールをポンポンと突いてみましょう。
サッカーで言うリフティングのような練習です。
シェークやペン裏面を使用されている方はフォア面、バック面両方で行いましょう。
片面ペンの方は手首を伸ばす(フォア)、手首を内に曲げる(バック)などで行いましょう。
目指すゴールは次の2点です。
・体の中心でラケットを構え、ラケットがあっち行ったりこっち行ったりしないようにその場でボール突きを行える。
・突いたボールの高さを一定に保つ。低い、高いなど高さを自分で設定して複数の距離感を掴むとなお良いです。
②アプローチ練習
その場でインパクトの力加減を覚えたら今度は前方に向かって打つ練習です。
ゴルフのように目標を設定し、距離に対する力加減を覚える練習です。
目指すゴールは次の1点です。
・自分で決めた距離目標に対して正確にノーバウンドでボールを送球できる。この際目標物は初めは直径1mくらいの円で構いません。最終的にはラケットケース程度の大きさにできると理想的です。徐々に距離も伸ばしていきましょう。
次のステップは向かってくるボールを正確に狙い通り返球する練習です。
実際卓球は相手が打ってきたボールを打ち返すため、反発力が強く働きその場で玉突きするよりよく飛んでしまいがちです。
③トスヒッティング練習
相手にボールをトスしてもらい、それを打ち返し、相手にボールをキャッチしてもらいましょう。
もし1人で練習する際は壁に向かってボールを打ち、返って来たボールをまた打ち、といった具合でも大丈夫です。
これらが十分行えるようになると、スイングと合わせることでよりしっかりとした基礎打ちができるようになります。
私も今でもこれらをよくするタイミングがあります。
それはラケットやラバーを新しく変えた時です。
卓球は用具のスポーツとも言われるように、使う用具に合わせて体の感覚を微調整する必要があります。
ですので、新しい用具に変えた際はまず感覚練習に立ち返ることも重要です。
■今日お伝えしたいこと
・ボールを打つのにはスイングとともにボールタッチの感覚が必要。
それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。
ムー
【技術】フォア基本打ち
卓人の皆さんこんにちは!ムーです。
今日はようやくフォア打ちについて触れていきたいと思います。
指導していく上で最もデリケートな技術であり、いつもとても気を使いながら、また受講者さんの体の特徴をしっかり観察しながら教えています。
テキストで少しわかりづらい部分もあるかもしれませんがエッセンスを抑えて練習に取り入れてみてください。
さて、以前バック基本打ちについての説明の際、”バックの感覚をフォアに適応すれば良い”という旨のことを書きました。
ura-omote-pen-shake.hatenablog.com
重要な点はほとんどがバックと同様です。
まず基本姿勢ですがこれもバックと同様です。
バックとフォアを切り離して考えてはいけません。そうです、卓球はとっさにフォアにボールが飛んできたり、バックに飛んできたりするスポーツです。
とっさの対応が求められるので基本姿勢は揃えておくことで無駄な動きを減らします。
おさらいを兼ねて記載すると以下の通りです。(左利きは逆になります)
・足は右足を少し下げます。左足の土踏まずと右足の親指の付け根が同じラインに来る程度。もしくは並行足。
・前傾姿勢を取り、かかとが少し上がった状態でも安定して立てる程度
・大きなボールを抱えるように空間を作りラケットを構える。この際右肘が胸から20cm(ラケット長さ程度)くらいの位置になるように。
ここまでは大丈夫ですよね。
次にスイング、打球時のポイントを説明していきます。
バックを先に、フォアを後に説明する意図はここにあります。
フォアでのタイミングの取り方、打球点についてはバック同様ですが、スイングする際に腰回転という重要な動きが入ってきます。
スイングについて少し行程を詳しく説明しながら進めます。
■スイングする際のポイント
①ボールが自分のコートでバウンドした際に右足のかかとを床に突く。(バックのタイミングの取り方と同様)
②かかとを床につけると同時に、左足ヒザを少し右に倒す、と同時に右足ヒザを右に少し倒す。
ここで②をもう少し説明します。
この動作をする目的は腰を右に回すためです。
皆さんの中でも腰回転を使う必要性を理解されている方は多いでしょう。
しかし、その回転のさせ方を理解している方は少し減るのではないでしょうか。
人間の体はある特定の部位だけを動かすということは非常に難しく、仮にできたとしてもとても力、エネルギーを必要とします。
連続動作などしているとすぐに疲れが出て、最悪故障につながってしまいます。
これは自然な動きではないからです。
上半身や腰などを動かす際にどうしても連動するのが下半身です。
ですので、腰の回転を下半身を使って自然に作り出していきます。
②の動作を行う上で重要なのは左ヒザを右に少し入れる点です。その際右足を連動して(同時に)右に少し倒します。すると体が少しねじれたように沈み、右足の股関節に負荷がかかります。この感覚が重要です。
この動作を覚えると腰が勝手に右に回っているはずです。
同じような動作をしている例としては回転椅子に座って両足で右を向こうとした際、左ヒザ、右ヒザが右に倒れ込むような動きになるはずですのでイメージとして持ってみてください。
この一連の動作を行うことで基本姿勢から腰が右に回り、ラケットも腕を動かすことなくスムーズに引くことができます。
これがバックスイングの基本になります。
よく聞かれる質問で「股関節を入れ込むにはどうすればいいですか」というものがあります。
先ほど述べたように腰回転の際股関節は勝手に入るので、ヒザの使い方を意識してみて下さい。
またくれぐれも腕だけを引いてバックスイングするのはやめてくださいね。
それでは続きに戻ります。
③②の要領で右に回転させた腰を今度は基本姿勢に戻します。
これも腰を回して元に戻すのではなく足を元の状態に戻す意識です。腰は左に自然と回転するはずです。
④最後に基本姿勢に戻ると同時に今度はラケットをおでこの位置まで持っていきます。
この際上腕と前腕の角度は変えず肘を前に突き出すイメージです。(いわゆる肩甲骨を使った打ち方になります)
⑤すぐさまラケットを下ろし基本姿勢に戻ります。
基本姿勢に戻るまでがスイングです。現代の高速卓球に対応するため、この戻りの重要度はとても上がっています。
■タイミングの取り方
ボールのバウンドと同時に右足のかかとを床に突きスイング動作に入りましょう。自然とボールに合わせたスイングができるようになります。(バックと同様です)
■打球時の打点
バウンド直後のボールにスイングを合わせてあげましょう。
ここまでがフォアの基本打ち動作です。
気づいた方もおられるかもしれませんが”上半身の動作”についてほとんど触れていません。そうなんです、上半身は補助動作程度でほとんど使わなくていいのです。
これにも理由があります。
ボクサーが同様の動きでストレート(パンチ)を繰り出します。
腕に力を込めて打ってますか?
しっかり下半身→腰→最後に腕を伸ばすという回転運動で威力を出してますよね。
卓球も同様です。
■今日お伝えしたいこと
・フォアもバック同様のタイミング、打点の取り方をしましょう
・フォアスイングは腕を振るのではなく、腰回転を利用して安定した打球を打ちましょう
以上になります。
それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。
ムー