卓人の卓人による卓人のための卓球上達ブログ

卓球指導者による上達方法を体の使い方、戦術、練習方法などの観点でシェアしたと思います!

【技術】試合で勝つための、意義ある負けとは -ラリー派?ノットラリー派?-

卓人の皆さんこんにちは。ムーです。

 

昨日Tリーグが開幕しましたね。

きらびやかな演出、熱の入ったプレー、歓声。

Jリーグが開幕した際の演出を今でも見かけるように、未来に語り継がれる開幕戦になったのではないでしょうか。

 

しかし、まだ無から1を作ったに過ぎず(これが一番エネルギーが必要なのは重々承知ですが)、これからが勝負ですね。

1ができればあとは足し算、掛け算的にどんどん成長して欲しいです。

このリーグが成長していくためには今後さらなる仕掛けやトライが必要になってくるでしょう。

 

 

 

と、いうことで、今日は”成長していくためには今後さらなる仕掛けやトライが必要”という点について卓球の上達に置き換えてお話ししたいと思います。

 

 

 

 

皆さんはこのような場合どのような思考になりますか?

 

・一生懸命ラリーの練習しているのに試合で打ち合いに勝てない

・新しい技術を覚えている最中だが、どの段階で試合に使えばいいかわからない

 

 

このような質問や悩みをよく聞きますが、では「どうしたらいいと思う?」と尋ねると皆さんよく考えてくれ、8割このような答えが返ってきます。

 

 

・一生懸命ラリーの練習しているのに試合で打ち合いに勝てない

 → ボールが軽いからもっと威力のあるボールを打てるように練習します。

 → 威力のあるボールを打つための体の使い方、鍛え方を教えてください。

 

・新しい技術を覚えている最中だが、どの段階で試合に使えばいいかわからない

 → 練習で9割ミスが無くなってきたら試合で使おうと思います。

 

 

 

このような答えに対して否定はしません。出来る限り彼、彼女たちの答えに対するアドバイスをします。

 

しかし、付け加えて”もっと早く試合で結果が出る”考え方についてもアドバイスします。

 

中には聞き流しているな、と感じることがありますが、やはりそのような方はなかなか結果が出るまで時間がかかっているように思えます。

 

 

それでは、試合で勝つためにどのような意識で練習すると良いでしょうか。

 

 

 

 

※以下「卓球のワールドクラスの試合におけるラリーの特徴-ラリー中の打球回数に着目して- 著者:吉田和人氏ら」を引用させていただいております。

①一生懸命ラリーの練習しているのに試合で打ち合いに勝てない

→ラリーに持ち込まない卓球で5球目までに点を取る方法を練習しよう

 

そもそも質問に対する答えになっていないのですが、”試合で勝つため”、という目的に対しての答えとして提示します。発想の転換を勧めます。

 

ワールドクラスの選手同士の試合において、得点までのラリー数は分布にすると1〜5球目が最も多く約7割はこの間に得点が決まる、というデータがあります。(ロンドン五輪個人戦団体戦の試合から集計されています)

 

トップ選手でも5球目までに勝負がつくケースがとても高いのです。

 

ということは、トップ選手はやはりいかに効率よく得点するか、という戦術を重視していることが分かると思います。

 

卓球は先に11点を取ればいいので、無理に引き合いに持ち込んで戦う必要はないのです。そのような打ち合いを楽しむ、というのももちろん良いと思います。

 

しかしそれで負けてしまっては自己満足で終わってしまいます。

 

 

 

この5球目までに点を取る戦い方をする上で非常に重要になってくるのがサーブ・レシーブの技術です。

 

 

 

■サーブ練習する上でのポイント

 

まずはご自身が試合中に使うサーブを5つほどに絞り込みましょう。

以前、”サーブで点が取りたい時に使うサーブ”についてお話ししましたが、それは外して下さい。(もちろん確実に点が取れるように練習は繰り返ししましょう)

 

ura-omote-pen-shake.hatenablog.com

 

この絞り込んだ5つのサーブをランダムで出した際、相手はとっさにどこに返球してくる確率が高いかを各サーブしっかり練習の時に把握しておきましょう。

 

これはパートナーのレシーブ技術によって変わるため、できれば複数人の方を相手にしたほうが良いです。

 

ポイントは”同じサーブを出し続けない””相手にサーブの種類を伝えない””なるべく多くのパートナーで試す”です。

 

この練習を行うことで”このサーブを出すとフォア(もしくはバック)に返って来やすいな”というデータを自分で持っておくことが非常に重要です。

 

※過去記事

ura-omote-pen-shake.hatenablog.com

 

注意していただきたいのは、これはサーブ練習と同時に、3球目攻撃で点を取るための練習であることを忘れてはいけません。

 

「このサーブをバックに出すから、フォア側にツッツキして、それをクロスに打つから」という3球目攻撃の練習をよくされている方は特に取り入れてみてください。

 

要するに試合でそのような固定したケースがどれだけありますか?その要望に対して相手が無理なレシーブをしていませんか?ということです。

 

実際にレシーブコースの指示を受けた際に、「ここには返球しないでしょ」と思うことは多々あります。

 

このように頭でケースを決め込んで固定してしまうより、実践的なデータを元に相手のレシーブコースを予想する方が待っておく領域も広くなり、気持ちにも余裕が出ます。

 

また、サーブを出した後は態勢をニュートラルに戻し、3球目攻撃ができる状態まで体を動かすことを意識してください。

 

 

 

■レシーブ練習をする上でのポイント

 

レシーブ練習する際、まずは相手の回転に合わせて台に入る角度を知ることが重要ですので、特に初級者の方は回転やコースを固定して出してもらい、返球する練習をしましょう。

 

中級者以上の方は、先ほど述べたサーブ練習を相手にしてもらい、それをレシーブしましょう。

 

ランダムにサーブが飛んでくると次第に”自分はこの回転、コースはここにレシーブしているな”というデータが集まってきます。

 

ここで相手には3球目攻撃してもらうところまでを要望すると良いです。

こうすることで、"このレシーブ精度だと先に打たれる"、という基準を作ることができるためです。

 

ここからは3つのパターンに分かれます。

 

1つ目は打たれないレシーブをする。です。

 

例えばストップ技術が有効です。(ストップ自体はまた別の機会に説明します)

 

相手に強いドライブを打たれないようにレシーブを2バウンドさせる練習をしましょう。

 

ストップすればストップで返される、もしくはツッツキ、最悪でも狙われていない限り強いフリックをされることは無いため4球目を狙って強打しましょう。

 

この時はじめは相手のサーブの回転を使ったり、逆らったりする必要は無いのでまずは回転に逆らわずに低く、短いストップをする事に拘りましょう。

 

上回転系のサーブは強打する意識では無く、深く返すことを意識しましょう。

 

 

 

2つ目はあえて3球目を相手に打たせてカウンター。です。

 

これは特に相手のサーブが長く、ストップがしづらい時に有効です。

 

この時注意する点は、"鋭く、切れたツッツキ"をするという事です。

 

以前ツッツキは攻撃の第一歩という記事で紹介した方法です。

 

ura-omote-pen-shake.hatenablog.com

 

合わせて返すだけでは相手に気持ちよく3球目を打たれてしまいます。

 

出来れば相手から遠いサイド、もし相手が台の中心で構えているようであればミドルを狙いましょう。

 

これを相手に3球目ループドライブさせ4球目をカウンター攻撃です。

 

待ちはクロスで大丈夫です。ミドルの場合はミドル意識で待ちましょう。

 

上回転系はやはり深く、相手のいない方へ、が鉄則です。

 

 

 

3つ目はチキータ、フリックで2球目攻撃です。

 

これは近年トップ選手が多様する技ですよね。

 

とにもかくにも"レシーブでも先手を取る"ことが最大のメリットです。

 

この際に重要なのはやはり相手のいないコース、また深くに返球することです。

 

相手もチキータ待ちの可能性がありますので入れるだけではなくコース、深さを意識しましょう。

 

また近年のチキータの乱用(笑)に伴いロングサーブの重要性も謳われていますので、とっさの対応力も普段から鍛えておきましょう。

 

 

 

3つ紹介しましたが、前陣でのラリーが得意な方はチキータ。あまり早いピッチが得意でない方はストップ、コースを突いた鋭いツッツキを鍛えると良いと思います。

 

 

 

そしてこれらの技術をどのタイミングで試合に適用するかということに移ります。

 

 

 

②新しい技術を覚えている最中だが、どの段階で試合に使えばいいかわからない。不安。

 この答えとしては、練習してある程度体が覚えたものは少しでも早く試合で使いましょう。です。

 

そして、試合ではどのパターンで得点するかを決め、どんどん先手を取る意識で試しましょう。

 

はじめはバタバタしてしまったり、ミスをしてしまうかもしれません。

それでいいのです。

 

試合で使える技術になっているかどうかは試合でしか確認できません。

 

先を見据えた意味のあるミスとして捉え、どんどん使って下さい。置きにいっているようではいつまで経っても試合で使える技術にはなりません。

 

もしこれで負けてしまったとしても十分意義のある試合内容になると思います。

 

また試合で出来ない技術が明確になり再度見直すことで、練習に身が入るはずです。

 

先日のTリーグ開幕戦において解説の宮崎氏も「試合で使える技術かどうかは、試合の緊張感の中でやってみることでしか判断できない」とおっしゃられていました。

 

まさに私もそう思います。

 

どれだけ練習で100%ミスしない技術でも試合の独特な雰囲気の中ではまた別です。

 

 

 

 

■今日伝えたかったこと

 ・ラリー戦に持ち込むのも良いですが、サーブ・レシーブを磨き、3,4,5球目で得点できるパターンを持ち、武器にしましょう

・練習で覚えた技術は、恐れることなくどんどん試合で使いましょう

 

 

ドライブ、サーブなど単独の技術だけでなく、得点を取る展開を作り、体で覚えておくことは相手を術中にはめる上でもとても重要です。

 

是非トライしてみてください。少しでも参考になれば幸いです。

 

それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。

 

 

ムー