【雑談】用具の特性とは?ラケット編
卓人の皆さんこんにちは。ムーです。
先日ラバーの特性について書かせてもらいました。
ura-omote-pen-shake.hatenablog.com
ラバーに自分のインパクト量を合わせるのか?
もしくは自分のインパクト量に合うラバーを探すのか?
というお話でした。
最終的にはラケット、ラバーの組み合わせになってくるのですが、書けたらそこまで説明したいと思います。
まずはラケットの特性についてです。
ラケットはどのように選びましょう。
となりますが、まずはラケットの種類やその特徴について少し解説したいと思います。
今も昔も大きくは変わっていないですが、木材のみでできているラケット、特殊素材が入っているものの大きく2分類に分かれますよね。
さて、歴史的に考えてみるとどうでしょう。
だいたいのイメージは付くかと思いますが木材のみでできているラケットがそもそもの始まりです。
そこにもっと反発力を高めて飛ぶようにしたい、というニーズに応えて登場したのが特殊素材です。
これからお話しする概念を頭の片隅に置いて頂くことでラケット選びの際、どのようなプレーがしやすいのかイメージしてラケット選びの参考にして頂けると嬉しいです。
それでは木材から順に追っていこうと思います。
今や木材ラケットと言えど、単板、3枚、5枚、7枚といったように種類があります。
また、ヒノキやスギなど木材種の違いがありますね。
まず、そもそものお話しです。
卓球は相手が打ったボール、いわばエネルギーを持った状態で飛んできて、自分のラケットに当たります。それがラケットやラバーの反発力によって飛んでいきます。
ここでエネルギーという考え方がポイントになります。
イメージとしてはゴムボールをそっと床に落とした時、手まで戻ってきますか?叩きつければ戻ってきますが、そっと離した程度ではまず戻ってきません。
これはボールが床と衝突した際にエネルギーを一部失う(音や振動などに使われる)ためです。
卓球に当てはめてみましょう。
飛び方が強い(失速しづらい) → エネルギーをロス(失う)しにくい
飛び方が弱い(失速しやすい) → どこかでエネルギーをロスしている
一番エネルギーをロスしないのは単一の素材を使った場合になります。
そうです。単板が最もエネルギーをロスしにくいのです。
では合板はどこでエネルギーをロスしてしまうかというと木と木のつなぎ目です。
世の中には合板ラケットのような複合素材(素材は様々ですが)によってできている製品が多々ありますが、それらほぼ全てが接合部分のエネルギーロスを生じています。(それが良い場合もあれば悪い場合もある)
しかし単板には接合部がありません。ですので受けたエネルギーをラケット全体で一旦吸収し(溜め込み)、その後反発力として再度エネルギーをボールに伝えます。
これが”しなり”というものです。
一方で合板は、それぞれ硬さの違う薄い木板や木よりもガチガチに硬い接着剤が組み合わさった複合物です。
層によって硬さが違う、また間に木とは比べものにならないほど硬い接着剤層が存在するため硬さとしてとてもいびつな構造となっています。
実はこのいびつさがエネルギーをロスさせる大きな原因なのです。
では合板は悪いことばかりなのかと言うと、もちろんそうではありません。
硬さは合板の方が硬くなります。
単板の方が柔らかいです。
これはボールにラケットをぶつけたとき、当たってから飛び出るまでの速さ(初速)や飛距離に効いてきます。
硬い方が初速が早く、柔らかい方が遅い、という具合になります。
また、飛距離も硬い方が遠くまで飛びやすいです(伸びは度外視して)
ここまでをまとめます。
木の枚数が少ないほど球持ちがよく、打ってから遅れて勢いのあるボールが飛んでいくイメージ。
→じっくり球を持って回転をかける時間がある。初速は遅いがエネルギーをロスしにくいため相手コードで失速しにくい。回転系の技術向き。
木の枚数が多くなるほど球持ちはしにくくなり、打ってすぐに跳ね返す初速の早いボールが飛んでいくイメージ。
→回転はさほどこだわらず、ピッチが早くなる。エネルギーロスを起こすのでボールが伸びにくい。スピード系の技術向き。
ここまで大丈夫でしょうか。
そして特殊素材が出てきた理由ですが、上の説明を理解して頂くと自ずと答えが出てきます。
合板の長所をさらに活かすために、硬い素材を入れ込む。です。
合板のウィークポイントであるエネルギーロスを抑える方法はないのか?と考えますが、これは無いと言っていいと思います。
ここで忘れてはいけないのが、卓球のラケットにはラバーが貼られているということです。回転はラケットよりもラバーの方の寄与が高いのでそちらと回転をかける技術でカバーすることができるのです。
ですので、基本的にはラケットは弾む合板(特殊素材入りも含む)の方が良いラケットとされます。
ただし一つだけ例外を伴う例(技術)があります。
それはペンホルダーのショート技術です。
ペンのショートは回転をかける要素はほとんどありません。ですので合板だとブロックで止めることはできても勢いのあるボールになりません。失速し、狙い撃ちされてしまいます。
一方単板は先ほど述べたようにエネルギーをロスしにくいので、失速することなく勢いのある、伸びるボールが打てます。
ですのでペンで、かつ片面のみの上級者は単板ラケットを使う傾向にあるのです。
さらに、単板のこだわりでヒノキという素材をよく聞きます。
木の素材についてですが、ヒノキは繊維が詰まっているためエネルギーロスをしにくく、スギなどは繊維が荒いためややロスしやすいです。
繊維が荒いことで潰れやすく(変形しやすくなるため)そこで若干のロスが生まれます。
しかし、スギは軽いという特徴があるためラケット選びのポイントの一つにもなりますね。
■今日伝えたかったこと
・木の枚数が増えることで起こるメリット
→ラケットが硬くなりボールの初速が上がる。飛距離が伸びる。
・木の枚数が増えることで起こるデメリット
→反発が強くなりボールを掴みにくくなる。ボールの伸びが出なくなる。
・木の枚数が減ることで起こるメリット
→ボールを掴むため回転系の技術に有効、エネルギーロスしにくい分相手コートで失速しにくい。
・木の枚数が減ることで起こるデメリット
→反発力が弱く初速が遅くなる。
少し長くなってしまったので、ラケットとラバーの組み合わせについては次の機会に書きたいと思います。
それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。
ムー