【技術】スマッシュ、ミート打ちの有効性 〜表ソフトラバーを見直す〜
卓人の皆さんこんにちは。ムーです。
少し間が空いてしまいましたが皆さん変わらず楽しく卓球できていますでしょうか?
寒くなってきたので汗をかいた後などはしっかりと保温し、体調最優先で楽しい卓球ライフを送っていきましょう。
本日はスマッシュやミート打ちの有効性についてお話ししたいと思います。
なぜ有効なのか。
どのように打てばいいのか。
打つためには何を鍛えれば良いのか。
などをご紹介していきたいと思います。
①なぜ有効なのか
まず「なぜ有効なのか」という点についてです。
その前に、初級者の方のためにまずスマッシュやミート打ちについてご説明します。
卓球において相手のコートに打ち込むことに特化した攻撃技術としては大別すると、
上回転をかけるドライブ、上回転を抑え相手コートに弾き入れるスマッシュ・ミート打ち、押し込むプッシュに分けられると考えています。
ここではスマッシュとミート打ちに関しては同義語として捉えて考えようと思います。
回転を意図的にボールに与えない打ち方という点で共通だからです。
ここからは総じてミート打ちという言葉を使いたいと思います。
プッシュ技術についてはペンホルダータイプのバックプッシュ、粒高ラバーを使った
下回転を上回転に反転させるプッシュと少し特殊ですので今回は割愛します。
先日ツイッター内でアンケートを取らせていただいた結果93%の方が裏ソフトラバーもしくは表ソフトラバーを使用されているとのことでした。
裏ソフトのみが63%、表ソフトを使用されている方が30%という内訳です。
ここからも推測できるように多くの方はドライブやスマッシュ・ミート打ちを基本攻撃パターンとして使用されていると思われます。
その中でもやはりドライブがメインという方が多いのではないでしょうか?
さて、皆さんは試合でこのように感じたことはないですか?
・相手の攻撃に回転がかかっていないためブロックしづらい、回転を利用できない
・相手の打球が弧を描かず、スーッと伸びてきて合わせづらい
・相手の打球タイミングが早いため反応が遅れる
どれか一つでも感じられたことがあれば、これがミート打ちの有効性です。
卓球とは基本的な考え方として相手のピッチ、ボールの回転・スピードに合わせて打球し、返球し合うスポーツです。
(その前提でこれらにコントラストを加え、相手を崩していきますね)
そのうちのボールの回転量を下げてあげることで相手は回転を利用することが困難になり格段に対応力が必要となります。
私の主観ですが、ピッチやスピードはコントラストをつけることで相手を翻弄することはできますが単体だけでは遅いと対応されてしまいます。
どちらかというと早い方が相手を崩しやすく、こちらは高い技術が必要です。
一方で回転を下げることに関しては相手の対応力が低い場合、それ単体においても威力を十分発揮すると考えています。コントラストをつけると威力は倍増します。
近年のプロの世界を見てもこのミート打ち技術はとても威力を発揮していますよね。
顕著なのは伊藤美誠選手のバックミートやみまパンチと呼ばれるミート打ちです。
例えば中国選手の最も優れた特徴として相手のドライブ回転を利用した卓球の上手さがあります。
一方で回転のかかっていないボールに関しては現状ウィークポイントです。
これを突き、武器として戦う伊藤選手が中国選手に強い理由とも言えます。
回転を敢えてかけずに相手に回転を利用させない、これがミート打ちの有効性の一つです。
②どのように打てばいいのか
それではどのように打球すれば良いのかについてです。
ポイントを3つ挙げたいと思います。
1つ目は「打球タイミングは頂点」です。
ミート打ちが有効である所以は回転をかけないだけでなく、ピッチを早くできるところにもあります。
それは打球タイミングが頂点もしくはやや頂点前をとらえる技術だからです。
ミート打ちはボールに回転がかからないためボールは弧を描きません。
直線的に飛んでいくため、最もボールが高い位置の頂点をとらえ、相手の台に突き刺すイメージが無難です。
頂点前や頂点からボールが落ちてくるポイントで打つことも可能ですが、コントロールすることは困難になります。
ペン表やフォア表の選手などはこちらも習得するとピッチの速さでも緩急が付き相手を翻弄できるため是非トライしてください。
2つ目は「点集中のインパクト」です。
ミート打ちはラケット面を立て、前に叩くように打球します。
この時のポイントはバックスイングを大きく取らないことです。
自分のコートにボールがバウンドした時にはすでにラケットを構えておき、ボールが頂点に到達したらそのまま前に、コンパクトにボールを叩くことで強い点集中のインパクトが可能です。
バックスイングを大きく取ってしまうと打球前から力を入れがちになる、もしくは肝心のインパクト時の力の強弱が非常に難しくなり、ずれると肝心のインパクト時に力を伝えきれない、もしくはロスしてしまいます。
あくまでもラケットを引かず、コンパクトに前に強く叩くことが重要となります。
3つ目は「ボールの打球ポイントは横からやや下」です。
ミート打ちはボールの真横、もしくはやや下をとらえましょう。
ボールの上をとらえてしまうと上回転になってしまうため注意が必要です。
上回転のボールに対しては真横をとらえ前にスイングし、下回転のボールに対してはややラケット面を上に向けて弾くと安定します。
ラケット面の動かし方は違いますが打球ポイントやタイミングは以前お話ししたドライブと同様です。
これらのドライブとの使い分けを行うことでより相手を翻弄できるはずです。
ura-omote-pen-shake.hatenablog.com
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少し脱線しますが、近年このような前陣での卓球が注目されてきています。
それはこれらのドライブやミート打ちを行えるようになると自然と台に近い位置でのプレーとなり、ピッチを早くできる上に、台から下がる相手に対して右へ左へ振り回すことが可能になるからです。
またこのような前陣卓球に関して見てみると再注目されているのが表ソフトラバーです。
表ソフトラバーは回転が裏ラバーほどかからないため中後陣でのプレーには向かず、弾いた際の初速は早いものの失速してしまいますが、前陣でのピッチに特化したプレーやミート打ちに関してはピカイチの特徴があります。
先ほどお話ししたミート打ちに関しては相手のボールの回転の影響を受けにくいためより弾きやすさは増します。
打ったボールの回転量も裏ラバーに比べるとさらに落ちるため相手にとっては非常に打ち返しにくい攻撃が可能となります。
また、ナックルと呼ばれる無回転ブロックなどのボールに変化をつけることも可能です。
前陣で、かつ回転の強弱、ピッチの緩急で勝つトッププレーヤーが多い中、再度表ソフトが脚光を浴びるのも頷けますね。
一方で、このようなミート打ちや表ラバーを使う上で重要になってくる体に関することが次にお話しするポイントになります。
③何を鍛えれば良いか
ミート打ちを行う上で、最も重要なのは体幹の強さです。
率直な意見で言えば、フォームや重心移動などはさほど重要ではないと感じます。
ミート打ちはインパクトの一点に力を集中させます。
そのため先ほど述べたようにバックスイングを取らずコンパクトに前に叩くことが重要なのですが、これは体幹が強くないと体がブレてしまい力をロスしてしまいます。
また、インパクト前の一瞬の静止、またインパクト後の踏ん張りが強いインパクトを生みます。
回り込んだ後打つ、フォアに振られたボールに飛びついて打つなどインパクト前に動作を伴うことがほとんどであるため、それらの動作を行った後に一瞬静止するためには強い体幹が求められます。
また打った後に体がフラついてしまっては力が逃げてしまいます。
打球前、後に体が流れてしまう方は特に注力してトレーニングを行うことをお勧めします。
特に腹筋を始め胴体周り、内転筋を集中して鍛えると安定感が増します。
また、バックスイングを取らずに前に叩く感覚については、伊藤選手も取り入れているようなボクシングでいうところのジャブを打つトレーニングがとても効果的であると感じます。
これに関しても体幹がブレてしまうと力強いスイングができないため、やはり体幹の強さは必要ですね。
■本日伝えたかったこと
・ミート打ちは敢えて回転を抑え、相手に回転を利用されないようにできる
・打球タイミングは頂点が基本
・バックスイングは小さく、インパクト時に力を集中させる
・体幹を鍛えることで、打球前に一瞬静止できる体を作る(強いインパクトを生むため)
最後に、ではこのようなミート主戦、表ソフトユーザーに対応するためにはどうすればいいのかについて私の考えを少し書きます。
まず相手より台から離れないことです。下がって振り回されてしまうのは避け、ラリーではなく早い勝負を先に仕掛ける組み立てをお勧めします。
次に日頃から自分のスイングでボールに回転をかけ、打球する意識を持つことです。
相手が回転を抑えてきたとしてもベースとして自分から回転をかける感覚を持っていれば十分対応できます。
普段から相手のボールの回転を利用した当てるだけの打球ではなく、しっかりと回転を意識した打球を心がけましょう。
ミート打ちを取り入れつつ攻撃のバリエーションを豊かにし、合わせてそのような相手に対応する力を養っていきましょう。
それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。
ムー