卓人の卓人による卓人のための卓球上達ブログ

卓球指導者による上達方法を体の使い方、戦術、練習方法などの観点でシェアしたと思います!

【技術】スマッシュ、ミート打ちの有効性 〜表ソフトラバーを見直す〜

卓人の皆さんこんにちは。ムーです。

 

 

少し間が空いてしまいましたが皆さん変わらず楽しく卓球できていますでしょうか?

寒くなってきたので汗をかいた後などはしっかりと保温し、体調最優先で楽しい卓球ライフを送っていきましょう。

 

 

本日はスマッシュやミート打ちの有効性についてお話ししたいと思います。

 

なぜ有効なのか。

どのように打てばいいのか。

打つためには何を鍛えれば良いのか。

 

などをご紹介していきたいと思います。

 

 

 

 

①なぜ有効なのか

 

まず「なぜ有効なのか」という点についてです。

 

その前に、初級者の方のためにまずスマッシュやミート打ちについてご説明します。

 

卓球において相手のコートに打ち込むことに特化した攻撃技術としては大別すると、

上回転をかけるドライブ、上回転を抑え相手コートに弾き入れるスマッシュ・ミート打ち、押し込むプッシュに分けられると考えています。

 

ここではスマッシュとミート打ちに関しては同義語として捉えて考えようと思います。

回転を意図的にボールに与えない打ち方という点で共通だからです。

ここからは総じてミート打ちという言葉を使いたいと思います。

 

プッシュ技術についてはペンホルダータイプのバックプッシュ、粒高ラバーを使った

下回転を上回転に反転させるプッシュと少し特殊ですので今回は割愛します。

 

 

 

先日ツイッター内でアンケートを取らせていただいた結果93%の方が裏ソフトラバーもしくは表ソフトラバーを使用されているとのことでした。

裏ソフトのみが63%、表ソフトを使用されている方が30%という内訳です。

 

ここからも推測できるように多くの方はドライブやスマッシュ・ミート打ちを基本攻撃パターンとして使用されていると思われます。

 

その中でもやはりドライブがメインという方が多いのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

さて、皆さんは試合でこのように感じたことはないですか?

 

・相手の攻撃に回転がかかっていないためブロックしづらい、回転を利用できない

・相手の打球が弧を描かず、スーッと伸びてきて合わせづらい

・相手の打球タイミングが早いため反応が遅れる

 

 

 

 

どれか一つでも感じられたことがあれば、これがミート打ちの有効性です。

 

卓球とは基本的な考え方として相手のピッチ、ボールの回転・スピードに合わせて打球し、返球し合うスポーツです。

(その前提でこれらにコントラストを加え、相手を崩していきますね)

 

そのうちのボールの回転量を下げてあげることで相手は回転を利用することが困難になり格段に対応力が必要となります。

 

私の主観ですが、ピッチやスピードはコントラストをつけることで相手を翻弄することはできますが単体だけでは遅いと対応されてしまいます。

どちらかというと早い方が相手を崩しやすく、こちらは高い技術が必要です。

 

一方で回転を下げることに関しては相手の対応力が低い場合、それ単体においても威力を十分発揮すると考えています。コントラストをつけると威力は倍増します。

 

近年のプロの世界を見てもこのミート打ち技術はとても威力を発揮していますよね。

顕著なのは伊藤美誠選手のバックミートやみまパンチと呼ばれるミート打ちです。

例えば中国選手の最も優れた特徴として相手のドライブ回転を利用した卓球の上手さがあります。

一方で回転のかかっていないボールに関しては現状ウィークポイントです。

これを突き、武器として戦う伊藤選手が中国選手に強い理由とも言えます。

 

回転を敢えてかけずに相手に回転を利用させない、これがミート打ちの有効性の一つです。

 

 

 

 

 

②どのように打てばいいのか

 

それではどのように打球すれば良いのかについてです。

 

ポイントを3つ挙げたいと思います。

 

 

 

 

1つ目は「打球タイミングは頂点」です。

 

ミート打ちが有効である所以は回転をかけないだけでなく、ピッチを早くできるところにもあります。

 

それは打球タイミングが頂点もしくはやや頂点前をとらえる技術だからです。

 

ミート打ちはボールに回転がかからないためボールは弧を描きません。

直線的に飛んでいくため、最もボールが高い位置の頂点をとらえ、相手の台に突き刺すイメージが無難です。

 

頂点前や頂点からボールが落ちてくるポイントで打つことも可能ですが、コントロールすることは困難になります。

ペン表やフォア表の選手などはこちらも習得するとピッチの速さでも緩急が付き相手を翻弄できるため是非トライしてください。

 

 

 

 

2つ目は「点集中のインパクト」です。

 

ミート打ちはラケット面を立て、前に叩くように打球します。

 

この時のポイントはバックスイングを大きく取らないことです。

 

自分のコートにボールがバウンドした時にはすでにラケットを構えておき、ボールが頂点に到達したらそのまま前に、コンパクトにボールを叩くことで強い点集中のインパクトが可能です。

 

バックスイングを大きく取ってしまうと打球前から力を入れがちになる、もしくは肝心のインパクト時の力の強弱が非常に難しくなり、ずれると肝心のインパクト時に力を伝えきれない、もしくはロスしてしまいます。

 

あくまでもラケットを引かず、コンパクトに前に強く叩くことが重要となります。

 

 

 

 

 

3つ目は「ボールの打球ポイントは横からやや下」です。

 

ミート打ちはボールの真横、もしくはやや下をとらえましょう。

 

ボールの上をとらえてしまうと上回転になってしまうため注意が必要です。

 

上回転のボールに対しては真横をとらえ前にスイングし、下回転のボールに対してはややラケット面を上に向けて弾くと安定します。

 

 

 

 

ラケット面の動かし方は違いますが打球ポイントやタイミングは以前お話ししたドライブと同様です。

 

これらのドライブとの使い分けを行うことでより相手を翻弄できるはずです。

 

ura-omote-pen-shake.hatenablog.com

 

 

ura-omote-pen-shake.hatenablog.com

 

 

 

 

 

少し脱線しますが、近年このような前陣での卓球が注目されてきています。

 

それはこれらのドライブやミート打ちを行えるようになると自然と台に近い位置でのプレーとなり、ピッチを早くできる上に、台から下がる相手に対して右へ左へ振り回すことが可能になるからです。

 

またこのような前陣卓球に関して見てみると再注目されているのが表ソフトラバーです。

 

表ソフトラバーは回転が裏ラバーほどかからないため中後陣でのプレーには向かず、弾いた際の初速は早いものの失速してしまいますが、前陣でのピッチに特化したプレーやミート打ちに関してはピカイチの特徴があります。

 

先ほどお話ししたミート打ちに関しては相手のボールの回転の影響を受けにくいためより弾きやすさは増します。

 

打ったボールの回転量も裏ラバーに比べるとさらに落ちるため相手にとっては非常に打ち返しにくい攻撃が可能となります。

 

また、ナックルと呼ばれる無回転ブロックなどのボールに変化をつけることも可能です。

 

前陣で、かつ回転の強弱、ピッチの緩急で勝つトッププレーヤーが多い中、再度表ソフトが脚光を浴びるのも頷けますね。

 

 

 

 

一方で、このようなミート打ちや表ラバーを使う上で重要になってくる体に関することが次にお話しするポイントになります。

 

 

 

 

 

③何を鍛えれば良いか

 

ミート打ちを行う上で、最も重要なのは体幹の強さです

 

率直な意見で言えば、フォームや重心移動などはさほど重要ではないと感じます。

 

 

 

ミート打ちはインパクトの一点に力を集中させます。

そのため先ほど述べたようにバックスイングを取らずコンパクトに前に叩くことが重要なのですが、これは体幹が強くないと体がブレてしまい力をロスしてしまいます。

 

また、インパクト前の一瞬の静止、またインパクト後の踏ん張りが強いインパクトを生みます

 

回り込んだ後打つ、フォアに振られたボールに飛びついて打つなどインパクト前に動作を伴うことがほとんどであるため、それらの動作を行った後に一瞬静止するためには強い体幹が求められます。

 

また打った後に体がフラついてしまっては力が逃げてしまいます。

 

打球前、後に体が流れてしまう方は特に注力してトレーニングを行うことをお勧めします。

特に腹筋を始め胴体周り、内転筋を集中して鍛えると安定感が増します。

 

 

また、バックスイングを取らずに前に叩く感覚については、伊藤選手も取り入れているようなボクシングでいうところのジャブを打つトレーニングがとても効果的であると感じます。

これに関しても体幹がブレてしまうと力強いスイングができないため、やはり体幹の強さは必要ですね。

 

 

■本日伝えたかったこと

・ミート打ちは敢えて回転を抑え、相手に回転を利用されないようにできる

・打球タイミングは頂点が基本

・バックスイングは小さく、インパクト時に力を集中させる

体幹を鍛えることで、打球前に一瞬静止できる体を作る(強いインパクトを生むため)

 

 

 

最後に、ではこのようなミート主戦、表ソフトユーザーに対応するためにはどうすればいいのかについて私の考えを少し書きます。

 

まず相手より台から離れないことです。下がって振り回されてしまうのは避け、ラリーではなく早い勝負を先に仕掛ける組み立てをお勧めします。

 

次に日頃から自分のスイングでボールに回転をかけ、打球する意識を持つことです。

相手が回転を抑えてきたとしてもベースとして自分から回転をかける感覚を持っていれば十分対応できます。

普段から相手のボールの回転を利用した当てるだけの打球ではなく、しっかりと回転を意識した打球を心がけましょう。

 

 

 

 

ミート打ちを取り入れつつ攻撃のバリエーションを豊かにし、合わせてそのような相手に対応する力を養っていきましょう。

 

 

 

それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。

 

 

 

 

ムー

【試合レビュー】現代卓球の最先端とは -樊振東 vs 許昕戦から学ぶ-

卓人の皆さんこんにちは。ムーです。

 

スウェーデンオープンも終わり、間髪入れずにオーストリアオープンが始まりました。今週も目が離せない試合が続きますね。

先日の伊藤美誠選手のように躍動する日本人選手に期待しましょう。

 

 

 

 

それでは、今回は伊藤選手の活躍で少し注目度が下がってしまった印象ですが、スウェーデンOP男子シングルス決勝について書きたいと思います。

 

 

 

 

この試合を見て、これが現代卓球の向かう方向なんだろうなと改めて実感した点が幾つかありました。

まさに中国が掲げる最先端の卓球なのでしょう。

よりロスを無くし、パワーを前に送り、早さ(速さ)で押し込んでいくという方針をまざまざと見せつけてくれました。

 

 

今回youtubeテレビ東京さんよりアップされている動画「スウェーデンOP 男子シングルス決勝 樊振東vs許キン」にて全プレーを数回にわたり見返させて頂き、特徴的なプレーやその他データを数値化したものを紹介しながら進めたいと思います。

 

紹介する各特徴に対してどこのプレーが分かりやすいかも合わせて記載したいと思います。

youtu.be

 

 

 

特徴①前陣でのライジングプレー

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8:32 1セット目6-5からの樊選手のプレー

テキスト説明:許選手フォア側へサーブ→樊選手2球目をバックへドライブ→許選手ミドルへブロックとともにバック側回り込み→樊選手ライジングバックでフォア側へ打ち抜く

 

23:20 2セット目13-12からの樊選手のプレー

テキスト説明:樊選手バック前へサーブ→許選手フォア側へストップ→樊選手バックへフリック→許選手回り込んでフォアへ擦りドライブ→樊選手ライジングカウンター

 

40:15 4セット目4-3からの樊選手のプレー

テキスト説明:樊選手バック前へサーブ→許選手フォア側へストップ→樊選手バックへフリック→許選手ミドルへブロック→樊選手バックへ前陣ドライブ→許選手バックへカウンター→樊選手フォアへバック前陣カウンター

 

樊選手はこのようなプレーをこの試合を通してとても強く意識している印象でした。

これまではミドル寄りバックであればフォアで回り込みフィジカルで大きい展開に持ち込むのが中国卓球でしたが、この試合樊選手はしのぎ以外は台から離れず常にライジングで対応しようとしている場面が多かったです。

 

まだ相手のスピードについていけず間に合わなかったり、早打ちでふかしたりする場面も多かったですが、これがさらに精度が上がってくるととても強力です。

以前に比べスイングがコンパクトになった印象もあり、このようなプレーに対応するため改良しているのかもしれませんね。

 

許選手もピッチの速さにお手上げ、という表情が随所に見られました。

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今や台から離れてプレーすることはトップ選手のある一定以上のレベルでは自分で自分を苦しめていく方向に向かっているように見受けられます。

 

最も身近なところでは今年の全日本決勝で水谷選手を退けた張本選手のプレーです。

後ろから打ってくる水谷選手に対し台上でライジングで対応する事で大きな力を使わずにピッチスピードで水谷選手を右へ左へ振り回していました。

 

あの敗戦以降水谷選手も台に近いエリアでのプレーを多く取り入れるようにしている=世界(中国)と戦う卓球へと進化させようとしていることが伺えます。

常に状況に合わせて順応させようとしている姿はとても頼もしいですね。

今の日本には彼の力は必要なのでカムバックして欲しいです。

 

 

このようなピッチの早いプレーを行うために重要になってくる事はフォアバックともに戻りの早さ、体幹の強さです。

台に近いエリアでプレーする事は時間的な余裕は無くなります。

そのため打ってはニュートラルに戻るといった対応が不可欠です。ブレない軸(体幹)を持つことも大切ですね。

 

 

 

 

特徴②チキータではなく台上バックドライブ

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6:48 1セット目3-3からの樊選手のプレー

テキスト説明:許選手フォア前へサーブ→樊選手バックで回り込みバックドライブ 

 

44:55 4セット目9-9からの許選手のプレー

テキスト説明:樊選手バック前へサーブ→許選手バックドライブ

 

チキータはもはや中国では過去の技術のようです。むしろ一旦取り入れたもののトータルで見て使えないと判断したのかもしれません。

 

ここで樊選手と許選手の技術レベルの差が出ます。

樊選手は面でインパクトし前腕を前に返すことでドライブさせているのに対し、許選手はやや擦り気味のボールが多い印象です。

 

樊選手のボールは前への威力があり、相手にブロックさせない、もしくはブロックするのにやっとである一方で、許選手のややループがかったボールは上手く対応させれています。

その分ミドルに打つなどコースで強打されないようにしている印象です。

 

唯一取った4セット目の終盤は許選手も威力のある台上ドライブを見せていますので、現段階ではまだ諸刃の剣状態、もしくは対応できるボールが限られているのかもしれません。(むろん樊選手がそのような強打をさせないようなサーブやその後の展開でプレッシャーをかけているとも言えます)

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チキータはボールの進行方向を外し、横を捉え、上に擦り上げるのが一般的です。

 

回転軸を外すため回転の影響を受けにくく、また曲がる横回転のボールを返球できるメリットはありますが、一瞬遅れて飛んでいくため時間的な余裕ができてしまうというデメリットもあります。

 

トップ選手にもなれば時間的余裕があれば回転との付き合い方には長けています。そして中国はこのチキータのデメリットを致命的なものとして捉えた可能性があります。

 

上に擦る事でボールが向かってくるエネルギーを一部上に逃してしまうことになるため前への反発エネルギーが落ちます。

この樊選手の打ち方はボールの向かってくる方向と敢えて反発させる前方ベクトルで打つことでロスなくパワーのあるボールを打つことができていると考えられます。

 

この台上バックドライブの打ち方についてですが、これは以前ご紹介したバックドライブの打ち方を台の上で行うことで可能です。

上に擦り上げるのではなく、ボールを乗せて前方へ前腕を返すイメージでトライしてみて下さい。

追加するポイントは利き足を一歩前に出して目線をボールまで下げることです。

 

 

 

 

特徴③ライジング高速バックドライブ

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 25:05 3セット目0-0からの許選手のプレー

テキスト説明:樊選手フォア前へサーブ→許選手フォア前へストップ→樊選手バック奥へ鋭くツッツキ→許選手高速バックドライブ

 

32:44 3セット目8-9からの樊選手のプレー

テキスト説明:樊選手フォアへサーブ→許選手バック奥へ鋭くツッツキ→樊選手ストレートに高速バックドライブ

 

38:23 4セット目1-1からの樊選手のプレー

テキスト説明:樊選手フォアへサーブ→許選手バックへツッツキ→樊選手クロスへ高速バックドライブで打ち抜き

 

まさに先日のバックドライブに関する記事に対して動画としてとても分かりやすいプレーです。

 

ura-omote-pen-shake.hatenablog.com

 

 

両選手ともにレシーブのうち長く鋭いツッツキで相手を崩しにいく戦術を使っています。大体1セットに1回くらいです。

 

樊選手は本試合全53レシーブ機会中5回、1セット目2/8回、2セット目0/13回、3セット目1/12回、4セット目1/10回、5セット目1/10回の内訳です。

許選手は本試合全55レシーブ機会中4回、1セット目0/10回、2セット目0/13回、3セット目2/12回、4セット目2/10回、5セット目0/10回の内訳です。

 

 

この崩しに対しては下に溜めて上に擦り上げるドライブを打つ時間的余裕はありません。

 

手首を使って持ち上げる、いわゆるチョリドラを行うか、強引に回り込むかと言ったところになるでしょうか。許選手は今回無理やり回り込もうとする場面も見られましたが、樊選手はほぼ全てバックで処理していました。

 

ここで樊選手、許選手が使っているバックドライブが以前お話しした頂点前を捉える高速バックドライブです。

擦り上げる弾道ではなく、面に乗せてインパクトし前腕を返しているため、コンパクトなスイングにも関わらず非常に球足の速い低い弾道になっていると思います。

 

鋭いツッツキで仕掛けてもこれで返されると形勢が一気に逆転していることが分かりますね。

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このバックハンドに限らず両者常にカウンターの意識があることが分かります。

 

ドライブを打つ際は相手にカウンターされないような擦って弧になり過ぎないドライブを、打たれる側は少しでも弧を描いてきたら前陣でカウンターを狙うといった具合です。

 

特に今回の試合では頂点から落とした打点でのドライブは互いにカウンターを狙い合っています。(23:21からのラストプレーが特にそう感じました)

いかに相手に擦り上げさせるか、そこに持っていくための戦術を組み立てていた印象です。

 

その中でもサーブが顕著です。2バウンド目が出るか出ないかを狙い、相手がストップやフォアフリック、台上バックドライブを選択しない場合、擦り上げさせることしかできない絶妙な長さに出しています。

許選手は敢えて樊選手に2球目を持ち上げさせてカウンター狙いといったシーンも多く見られました。

 

樊選手は全レシーブ機会中49%、許選手は65%がストップから入っています。

個人的には両者非常に高い割合だと意外な印象でした。もっと台上から攻めて行っている印象があったからです。

これはやはり台上攻撃がしづらい長さ、低さでサーブが出せているからなのでしょう。

 

 

 

樊選手はストップ率は許選手より低いものの台上バックドライブが25%(許選手は18%)、2球目からの強打が17%(許選手は9%)であるために2球目から先手を取りにいけている傾向からも優位に試合を組み立てられていることが分かります。

このサーブレシーブについては許選手がやや長さに関して精度が低い印象でしたのでこれも試合結果に直結していると感じます。

 

樊選手は許選手にストップをさせることで(ストップ以外されにくいサーブを出せている)3球目から仕掛け、自分のレシーブでは先手を取ることもできている、非常に圧をかけられる試合巧者だなと思います。

一方許選手はなるべく樊選手を後ろに下げ、大きな展開に持ち込みたいためか、驚くほどストップ主戦でした。それでも3球目から速いピッチに持ち込まれてしまうため厳しそうな印象でしたね。

 

 

 

今回の決勝戦、特に樊振東選手に強く感じたことは、前で、前に、早く(速く)という意識です。

 

台の前でライジングで叩き、

上寄りではなく前寄りに打ち出し、

ピッチを速くして相手を置き去りにする。

 

これが現世界ランク1位の卓球です。

考えてみると先日の伊藤美誠選手もこのようなスタイルですね。

 

さらに男子は球のスピード、回転量が加わります。

 

この相手に立ち向かうためには、まずは後ろに下がらずに台上両ハンド対応出来ること、前へ飛ばす意識だとは思いますが、何をしてくるか分からない独創性が必要であることを今回の伊藤選手は教えてくれているのではないでしょうか。

 

一方で日本国内を見るとどうも台から離れた引き合いに美学を持っているような方がまだまだ多い傾向があるように感じます。(引き合いに繋がる展開の練習が多い点など)

悪いことでは無いかもしれませんが、恐らくこのような下がる相手に対して労せず戦える術を近年トップ選手は見せてくれていると改めて感じました。

 

男子選手にもトリッキーな選手が多く出てくるといいですね。

個人的には丹羽選手が打倒中国の鍵を握っていると感じています。

 

 

 

 

補足

 

最後に少しこの試合で見たサーブの傾向について紹介します。ご参考程度に。

 

樊選手はYGサーブが印象強く、許選手は強い下回転、ナックルの出し分けというイメージがありますが、ここにも両選手のサーブからの組み立ての特徴がありました。

 

許選手に関しては下とナックル、横系の割合がいずれのセットも同程度でした。

ややナックルを増やしたり、真下を増やしたりなどはありましたが3種類ほどのサーブを満遍なくといった感じです。

 

一方で樊選手は"このセットはとことんこれ"と言わんばかりに、1セット目はナックル、2セット目はYGなど横系、5セット目は真下などセットごとでとても偏りのある組み立てでした。何となく感じたのは徐々に下回転量を増やしている印象です。

最終5セット目に関してはこの真下サーブを許選手は2本ほどネットにかけているシーンがありました。

 

この偏ったチョイスはかえって相手は対応しやすいのでは、と思われるかもしれませんが、各セット要所でバックへのナックルロングを送っています。

偏らせた中にアクセントを加えることでより相手を惑わせているようですね。

 

サーブからの戦術は試合の組み立てを行う上で非常に重要です。

切ることに拘り過ぎるよりも、併用するサーブとのコントラスト、長さ、コースに意識を置くとトータルとしては試合を優位に進めることができるかもしれません。

 

 

 

それでは今日も卓球ができることに感謝して。

 

 

ムー

【考え方】セットオールで勝つ意識 -伊藤美誠選手から学ぶ-

卓人の皆さんこんにちは。ムーです。

 

まずはスウェーデンオープン盛り上がりましたね。

何と言っても私たちにとって大変嬉しかったのは女子シングル決勝で爆発した伊藤美誠選手の勝利ではないでしょうか。

 

勝利の要因については様々あると思いますが、私が考える伊藤美誠選手の強さ、勝負に勝つということについて冒頭お話したいと思っています。

その後、重複するかもしれませんが我々が試合に向かう姿勢や考え方について書きたいと思います。

(ちょうどこのタイトルで記事を書いていたところこのような状況になり、興奮するとともに、再度勝負について考えさせられました。副題、内容は急遽変更し一部書き直しました。)

 

 

 

それでは、まず伊藤選手の今大会を観て感じたことについて話を進めたいと思います。

 

 

まず、「決勝4-0で圧倒した」「劣勢から逆転した」ことが強いと捉えられがちです。

もちろん結果そうなのですが、この結果をもたらす伊藤選手の強さ、凄さはもう少し高度なところにあると感じます。

 

 

今回だけでなくワールドツアーともなると予選を抜けると選手のレベルも揃ってくるため一層手に汗握る展開が繰り広げられます。

そのような中で例えWR1位の選手でも1セットも落とさずストレートで勝ち上がることは至難の技となってきます。

 

そもそもプロになるとほぼ全選手と断言していいと思いますが、オールストレートで勝つ意識など持ってないと考えます。

 

このような舞台に立つ選手が持つ最も重要な能力の一つとして、試合全体(国際大会などでは7ゲーム)を通してプランを組み立てることができる、ということが挙げられます。

そしてさらに重要かつ難しいのは、状況に応じた修正、プレーの選択能力が必要ということです。

相手もトッププロであり、自分の好きなことばかりができる試合など無いと言っていいでしょう。

 

今回の伊藤選手も決勝戦だけ観ると、終始自分のペースで相手が対応してくる前に走り切った感じを受けます。

このような試合はこのレベルの大会において、しかも決勝としては特異中の特異です。

 

おそらく彼女も序盤探り気味で入った戦術が全てはまり、また全てにおいて質の高いボールが打て、ノータッチや対応できていない様子に爽快感があったとともに少し気味悪さも(驚きも)感じていたと推測します。

そして恐らく組み立てに関しては2セット目序盤にはゾーンに入っていたのではないかと思います。ショットの正確性も終始落ちることなく、本能的に的確な状況把握でき(これがすごく高い印象)とことん相手の嫌なところを突けたのではと思います。

 

今回の大会で私が"やはりトップ選手だな"と感じた試合は準々決勝の劉詩ブン選手戦での修正能力の高さです。

私は見ていて、彼女は7セットのうち序盤は終盤に自分のプレーをするため、とことん修正に費やしているなと感じました。

 

「自分の卓球をせずに負けてしまうと思ったので、まずは全部を出し切ろうと思って戦いました」

 

この試合後のインタビューを私はこのように解釈しました。

自分の卓球をするための土台を前半に整えた、そのために自分の持つ引き出しから次々技術を出し、その中で少しでも効くと感じたパターンの精度を上げるためにわざと中盤までジタバタした、という解釈です。

 

特に彼女もよくコメントしているようにバックに貼っている表ラバーは相手にとって不規則なボールがいく反面、本人もコントロールが効かない部分があります。

そして多くの表ユーザーが感じる"入らない日はとことん入らない"という状況から、わざと力んだり、抜いたりすることでそれすらも修正し、その場対応ができていたように思います。

 

また、準決勝の丁寧選手戦では「久しぶりに対戦する」と言っていたように、序盤は相手の得意なパターン、苦手なパターンを洗い出し、終盤は相手が苦手なパターンに徹した"戦術組み立て能力の高さ"での勝利だと感じました。

 

この準々決勝、準決勝において、捨てるセット(後半のことを考えると"捨てる"という言葉は語弊がありますが)を持てる心の余裕(強いメンタル)がある選手だと改めて感じました。

 

これらを通して考えられるのは、勝つためにはスタートの号砲とともに無我夢中で全力疾走するのではなく、まずはその日、その場の状況を広く把握し(一つでも多くの情報収集を行い)、そこから適した戦い方をチョイスし、フルゲーム使って勝ちに行く。

その意識、能力がとても高い選手だということを感じた大会でした。

 

 

補足して私が伊藤選手の良いなと思う点があります。それはミスをしてもミスに対しての素振りが少ないことです。すぐ次のプレーに切り替え、集中し、次の1点を取りに行く姿勢が素晴らしいです。

険しい顔で素振りし、戻ってこない1点を引きずり、次のプレーに100%集中できていない選手はよく見られます。

 

 

 ご本人からはそんな考えないと言われるかもしれませんが(それが強い要因かもしれませんが)、何はともあれ、強いです。それに尽きるのは失礼ですが。

本当におめでとうございます。

今後もさらに中国に一矢報いる存在でいてくれると信じております。

 

 

 

 

それでは私たちの身近な試合ではどうでしょうか。

 

プロとレベルの差はあれど、近い実力の選手同士が戦うという点ではそんなに大きな違いはありません。地方の協会主催の大会ではクラス分けされているケースも多いので、なかなか相手を圧倒することもなければ、圧倒されることも少ないはずです。

 

そんな中、プロの試合に対する考え方を転用することでグッと勝利を近づけることは可能だと考えています。

 

仮にオープン大会のように実力がごちゃまぜになっている大会で格上と相手するとしても、戦略の立て方によっては大金星を上げることが可能であることも身を持って実感しております。

 

 

一般的な話をします。

 

 

・セットを落とすと焦ったり、ヤバい、という顔でベンチに帰ってくる選手

・あっけらかんとして、むしろ落としても納得したような顔で帰ってくる選手

色々います。

 

前者は自分のプレーのことを中心に考えてしまい、相手の状況を考えられていない選手に多いです。仮に勝っていたとしても、崩れると修正が効かないタイプです。

 

一方で後者は、落としたセットの中にもヒントを幾つも見つけ出し、後半巻き返しが効く選手です。特に実力が拮抗している相手や癖のある相手でもなかなか負けないタイプですね。

 

みなさんの中には必ず1セット目取られて帰ってくる、などといった選手もいるのではないでしょうか。

 

私も試合に送り出す際は「相手の得意なパターンを見つけておいで」と言ってコートに向かわせます。

特に5セットのゲームだと相手に対する情報収集する時間が限られますので、落としても良い1,2セット目は特に重要な意味を持つと考えています。

 

1セット目は"引き出しのパターンをなるべく多く使い"相手のクセを自選手と一緒に見つけ出します

2セット目からはその情報をもとに逆に相手が苦手であろう"特定のパターン"を責めたり、自選手の得意なパターンを小出しにさせます

 

ここまででまずは一旦の種まき完了です。

 

3セット目以降ですが、この時点で0-2、1-1、2-0いずれかによって戦い方は変わりますが、忘れてはいけないのは2セットは落とせるという意識です。

 

これ以上落とせない状況の時は、とにかく相手の苦手を突く、自分の得意パターンに徹し、取り返していきましょう。

 

落とせる余裕がある場合は、5セット目のことを考えましょう。

5セット目に相手の逆をつけるような意識付け(種まき)を追加する、敢えて相手の苦手パターン、自分の得意パターンを一旦封印するなどです。

仮に5セット目に入った場合はもう何も考えずにそれまで4セットで点が取れたパターン、必殺サーブなどで畳み掛けるまでです。合わせて相手に意識付けさせていた逆を突くプレーなどを混ぜるとさらに余裕を持ったプレーができます。

 

5セット目を迎えた時の心境はいかがですか?

緊張しますか?余裕を持っていますか?

 

セットオールで勝つ意識でいる方は5セット目が最も気持ちが楽に戦えているはずです。

 

セットオールで負けることが多い方はあと一歩です。相手を分析し、徹底的に相手の苦手を責める、という意識でプレーできるように試合運びしてみて下さい。

 

伊藤選手がよく言われる強いメンタルとは"何にも動じない、というよりは自分のやるべきことがしっかり分かっているために落ち着いてプレーできる。楽しめる。"というのが私は正しいような気がしています。

 

 

 

 

と、ここまで試合に対する意識について話をさせて頂きましたが、この試合運びで重要なポイントはなんでしょう。

 

それは"たくさんの戦術パターンを持っておく"という点です。

 

もちろん考え方だけでは試合に勝てません。

 

特に相手の苦手なパターンを探す際に、戦術パターンが少ないようでは最悪相手の苦手を突けない可能性があります。

 

ですのでシステム練習を通して戦術パターンはなるべく多く持っておきたいです。

レシーブから、サーブから満遍なく練習しましょう。

数多く引き出しにしまっておき試合序盤で"この試合でこのパターンは使えない、これは使える、といった具合に、ただ選べばいい状況にしておく"ことが心に余裕を持つ近道だと思います。

 

試合中盤でもさっきまで効かなかったのに、急に効きだした、ということも多いですよね。引き出しは常にオープンにして頻繁に出し入れしましょう

 

試合中に付け焼き刃で考えた技術は精度も低いはずです。練習して使えるパターンを作っておきましょう。

 

伊藤選手の言われるように窮地に立たされた時に「できることを全部を出し切る」という意味はこのようなことも含んでいるのではないかと私は解釈しました。

 

 

なお、得意パターンを作る際の意識、練習方法は以前ご紹介した通りです。

 

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■今日伝えたかったこと

・試合では落とせるセット数は落としてでも、勝てる要素を見つけ出し、セットオールで勝ち切りましょう

・多くの戦術パターンを習得し、試合の状況に合わせて素早くチョイスしましょう

・試合中に新しいことを考えるのではなく、習得した技術を引き出しから出し入れするところに頭を使いましょう

 

 

最後に、最近のプロツアーはボールを選手が拾いに行かなくなりましたね。

この間に戦術の組み立てをしていたという話はよく聞きます。

意外とこの時間がなくなってしまったことで調子を落としてしまっている選手もいるような気がしております。

短時間の間に戦況を読み、適した戦術を選択する、非常に頭を使うスポーツだなとつくづく感じます。

 

 

それでは、今日も卓球ができる喜びをかみしめて。

 

 

 

ムー

 

【体】効果的なストレッチ、筋トレとは

卓人の皆さんこんにちは。ムーです。

 

寒くなってくると特に朝などは体動き出すのに時間がかかってしまい嫌ですね。

 

体を使ったお仕事をされている方や、朝からトレーニング、スポーツを行う方はしっかり体を目覚めさせてからスタートさせて下さいね。

怪我は嫌ですから。(年を取ると治りも遅いです。。)

 

 

今日は卓球をする前に、また卓球するのに効果的なストレッチや筋トレについて書きたいと思います。

 

 

皆さん12月号の卓球王国ご覧になりましたか?

とてもわかりやすく1週間サイクルで行うと良いストレッチや筋トレの内容について記載されていました。

続編があるようですので今のうちから少しづつ取り入れると体作りに一役買ってくれそうです。

 

 

一方で卓球する際に重要な体のポイントって意外と分かり難いですよね。

・腕を振るスポーツだから腕

・腰の回転を使うから腰まわり

・動き回るから脚

 

 

など、間違いではないですしトッププレーヤーはこれらも重点的に鍛えていると思います。練習後に筋力トレーニングを1時間ほどしているなどといった話も聞きますよね。

 

 

ただ、一般的なプレーヤーにそのような十分な時間もなければ、仕事で疲れているのにさらに筋トレで疲れるなんて現実的ではない、、という方も多いと思います。

 

 

今回は私が考える体の部位で"最低でもここは気を使った方がいいな"と思う部位とその鍛え方など日常の生活の中で実施できることについて紹介したいと思います。

 

 

①股関節を緩めよう

「股関節を入れろ!」などと言われたことはありませんか?

私は若い時に初めて言われた時には意味不明でした。

 

股関節を入れるという言葉が正しい表現なのか今でも少し疑問ですが、卓球における体の使い方を学んでいくうちに股関節の重要性に気がつきました。

 

特にフォア側のロングボールを打つ際(特に下回転系のドライブ)体を捻りますよね。

利き脚と逆脚の膝を少し内に入れ、同時に斜め下にツイストさせるような形で利き脚を曲げ、下半身の溜めを作ると思います。厳密には内外旋運動と言いますが今回は難しい話はやめておきます。

 

ura-omote-pen-shake.hatenablog.com

 

この時、利き足側の股関節は伸ばされる形になります。

これが動かないと腰の回転や腕だけで打ってしまい、安定感のある動きができないだけでなく、あらゆる箇所の怪我の原因にもなってしまいます。

 

では普段の生活の中でできる股関節を緩める方法についてご紹介します。

 

歩く際いつもより少し大股を意識して歩いてみましょう。

 

はじめは少し突っ張りを感じるかもしれませんが、続けていれば股関節が柔らかくなり無理なく続けられると思います。

 

股関節を柔らかくしようとして股割りのようなことは元々柔らかい方以外あまりお勧めしません、ストレッチで股関節を壊してしまうという話もよく聞きます。

 

そして練習前の準備運動で、足を前後、左右に開いてスクワットのような動作が効果的です。(以前、高島規郎先生の講習会の際、はじめに実施した準備運動です)

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この時上体は曲げずに行いましょう。股関節のストレッチだけでなく、足回りの筋力トレーニングにもなります

 

ポイントとしては前後(写真左)の場合は出した足のつま先が、左右(写真右)の場合は両足のつま先が膝で隠れないように(目視できるように)しゃがんでいくことです。

 

慣れてくれば体を沈めた状態からジャンプし、着地と同時にさらに曲げ、という動作を行うことで瞬発力に必要な筋力もトレーニングできます

前後の際はジャンプと同時に前後足を入れ替えることでバランス感覚を養い体幹レーニングにもなります

 

筋力はブレーキに必要な筋肉(大きい筋肉)と瞬発的に体を動かす筋肉があります。バランスよく鍛えましょう。

 

プロ野球選手でフォームが綺麗な大投手として有名な工藤公康氏は胸ほどの高さにロープを貼り、同じく上体を立てたままそのロープの下を下半身を落とし横にくぐるという股関節周りのトレーニングをしていたそうです。

参考になりますね。

 

 

 

②肩甲骨周りを緩めよう

「肩甲骨打法がいいらしいよ」

最近よく耳にする言葉です。腕に力を入れ振るよりも肩甲骨(厳密には鎖骨付近)を支点に腕を回したほうがより可動域が広く使えるという打法です。

 

フォアでラリーをしているうちにどんどん力んでしまう方などは腕でスイングしているかもしれません。

 

またバックに関しても、振れる領域が狭くてブロックや当てるだけしかできない、と感じている方も肩甲骨を意識したスイングをすると大きく円を描くようなスイングが可能になります。

 

肩甲骨打法にすると肘を前後させるような形で腕を動かすためあまり腕(特に上腕)に力を必要としません。

打つ際も効果がありますが特にニュートラルに戻る際に余った力を使えるため効率的だと感じます。

 

ご自身のスイングが肩甲骨を使っているかをご確認されたい方は、ラケットを持たない手を後ろからラケット持った腕側の肩甲骨を触って、いつものフォア、バックスイングをしてみて下さい。

スイングと同時に肩甲骨が外に開き、ニュートラルに戻った際に元の位置に肩甲骨が戻ってきているような動きをしている場合は肩甲骨打法ができていると言えます。

 

 

 

しかし肩甲骨打法はよく聞くもののあまり浸透していない印象です。

ここで肩甲骨を使った打法があまり浸透しない原因を考えてみました。

そもそも少し難しそうな印象もありますが、

私は生活習慣が関係していると感じています。

 

近年のパソコン仕事やスマホ、寒くなってきて体を縮めてしまうなどで肩甲骨の運動を使わない生活スタイルになってきているためです。

現代病とも言われる重度の肩こりも肩甲骨周りが硬いことが原因の一つとも言われてます。

 

そこで、掃除の際、窓拭き・床拭きを率先してやろう。ということを提案します。

 

みなさん学校や職場で掃除をする機会ありますよね。

 

以前医学番組で紹介されていましたが、お坊さんは肩こり知らずという特集をされていました。一般的な方の肩硬度に対してお坊さんは約50%以上も柔らかいということです。

 

これは修行の一環で毎日床・窓の雑巾がけを欠かさず行っていることが要因とのことです。そしてこの腕を左右に大きく動かす動きが肩甲骨周りの筋肉を緩めるのに非常に効果的なのです。

 

私も肩こりに悩まされていましたが、毎朝この左右に大きく腕を動かす体操をすると1週間もしないうちに肩が緩み、肩こりや頭痛がなくなりました。

 

次に両腕を耳に付け上に伸ばし、そのまま上体を前に倒しましょう

すると今度は肩甲骨が上下に動きます。

 

窓拭き体操で左右、上体倒しで上下に動かせるのでおススメです。

 

 

体幹を鍛えよう

体幹レーニングが大事」

これも良く聞く言葉です。体幹とはざっくり言うと腹筋、背筋など腰回りの筋肉を指すことが多いです。

 

なぜ卓球において体幹が必要なのか。

これは卓球に限らず普段生活していく上で最も重要です。

人間は二足歩行する上で体幹でバランスを取っています。

 

赤ちゃんがいい例です。脚などは蹴ったりする事で比較的早くから筋肉が発達します。

一方腰回りは脚や腕にある程度筋力が付いた上で寝返りをうったり、上体起こしをしたりの中で鍛えられていきます。その結果立てるようになりますよね。

 

卓球は前後、左右に細かく動き、ブレーキ動作を多く行います。その中でしっかり上体を安定させるためには体幹が必要なのです。

 

 

そこで普段の生活から立つバランスを鍛えるために、電車、バスでつり革など何も持たずに立ちバランスをとることをお勧めします

 

 

一駅ぶんだけ、から始め徐々に伸ばすと目標が作りやすく良いかもしれません。

また始めは脚を肩幅ほどに開き、慣れてきたら徐々にスタンスを狭めていきましょう。

脚によるバランスを削いでいくことでより負荷がかかります。

 

 

通勤通学が歩きだ、と言う方は信号待ちの時にかかとを軽く上げて青になるまで待ちましょう。不安定な状態を作れば何でも大丈夫です。(安全には十分気をつけて下さい)

 

 

体幹が鍛えられると腰痛なども無くなります。

よく腰痛で背筋不足と言われる方がおられますが、腹筋を意識して生活してみてください。

大抵の場合腹筋が減少していることが原因です。

前後のバランスが崩れているため腹筋を鍛えて前のバネをしっかりさせてあげると良くなることが多いです。

 

 

■今日伝えたいこと

・卓球に必要なストレッチやトレーニングは普段の生活の中で取り入れ、楽して鍛えましょう

・股関節は大股歩き、スクワットがオススメです

・肩甲骨まわりは窓拭き体操で左右、腕を耳に付けて上に伸ばし、そのまま上体を倒すことで上下に動かし可動域を広げましょう

体幹はバランスの悪い電車・バスで何も持たずバランス維持、もしくはその場つま先立ちなど自ら不安定状態を作り鍛えましょう。

 

 

少し滑稽な話になってしまいましたが、大層なトレーニング機器を使わずとも鍛えることは可能です。

 

是非、日々の休憩時間等のリフレッシュとしてもトライしてみて下さい。

 

きっと卓球だけでなく、体の調子も良くなるはずです。

 

 

それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。

 

 

ムー

 

【技術】高速バックドライブのコツ -下から上ではなく前へ振る-

卓人の皆さんこんにちは。ムーです。

 

今日は前回のフォアハンドに引き続きバックドライブのイロハについて紹介します。

 

以前はオールフォア卓球が美徳化されていた時期がありました。

フットワーク練習を倒れ込むまでされていた、というベテラン選手も多いのではないでしょうか。私もそうでした。

 

昨今を見てみると強いバックハンドを使いこなす選手が増えてきましたよね。

当時、岸川聖也選手が出てきた時にはとても衝撃を覚えたのを思い出します。

以降、フォアからもバックからも攻撃ができるプレーが世界の基準になりました。

 

さて、バックハンドについてはまずは基礎をしっかり身につけましょう。

 

ura-omote-pen-shake.hatenablog.com

 

フォアも基本が大事なことに変わりないのですが、バックは特にラケットを振れる領域がフォアに比べて狭いです。まずはコンパクトにボールに合わせたスイングができるように心がけましょう。

 

 

それでは今日はバックハンドで下回転を持ち上げるためにはどうすれば良いかという点にフォーカスして説明したいと思います。

 

 

皆さんバックからの攻撃の起点は作れていますか?

・バックはツッツキやブロックメイン

・バックドライブはボールを起こす程度

・バックドライブはカウンターされやすい

 

などとなっている方も多いのではないでしょうか。

やはり卓球の試合となると基本はバックを攻められる事が多く、相手もツッツキやループで上げてくるドライブを待っているケースがよく見られます。

 

 

 

私はラケットを台より大きく下げて(膝の位置くらい)バックスイングを取ることはおススメしません

 

よく"しっかりラケットを下げて溜めを作る"などと紹介されることがありますが、試合中そのような時間はありますか?

 

絶対バックドライブを打つんだ、と決めてその通りになれば良いですが、そのような時間と余裕はなかなか作れないものです。

 

恐らく下げる、溜めるで0.6〜0.7秒ほど使ってしまいます。

また、溜めることは大事なのですが、一度静止してしまう事でスイングでボールを迎え打ちにいってしまいがちです。

ラケットの角に当てたり、ホームランしてしまう事も多くなってしまいます。

このブログで何度も言っていますが、ボールにスイングを合わせる事が重要です。

 

 

では、どのようにスイングすれば良いでしょう。

 

 

私はフォアでも紹介した∞打法を強く勧めます。

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∞打法のメリットは以下の通りです。

・後ろ小さく、前大きくのスイング軌道でボールに合わせたスイングが出来る

インパクト時にラケット面が立つためインパクトが確保できる

・大きな溜めを作らないので前後動作と連動させやすい

・低く鋭い弾道になるため相手が取りづらい

 

 

少し細かく説明しますね。

スイング軌道ですが、ボールが自コートにバウンドするかしないかのタイミングでラケットを引き始めるくらいで十分ボールに合わせられます。とっさのドライブも可能です。

ポイントはラケットを引きすぎない事です。

引き過ぎるとその後の動作も大きくなってしまうので、手首を入れてその下からラケットを出すくらいが丁度いいです。

 

そして最も重要なのはインパクトとその後の動作です。

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フォアの際も言いましたがインパクトはボールの真正面からやや下にラケットを当てる事が重要です。

 

そしてボールを捉えるポイントはバウンド直後、もしくは頂点前です。頂点を見てしまうとボールの下を捉える事が難しくなります。

 

良くバック表の方がドライブを打つ際に意識することと近いです。

バックの上手い選手が打つ直前に軽く屈伸動作をしている光景を見るかと思いますが、このためです。

 

そしてさらに重要なのはインパクト後です。

ボールを捉えた後に上に擦るのではなく前腕を返すことです。手首は自然に返るくらいで意識しなくて良いです。

さらに返した直後に肘を引いて下さい。この動作で強い上回転がかかります。さらにニュートラルに素早く戻る事ができるため、ブロックされた後に素早くラリーに持ち込めます

 

この一連の動作はタオルの片方を掴み、掴んでいない方を前に投げ、手前に素早く引く動作と同様です。一度は遊びでやった事がある動作だと思います。

 

この打ち方で打つと相手から見るとフォア面が見えるような打ち方になります。

バックドライブの威力のある方やプロ選手のドライブはフォア面がこちらから見えますよね。

 

擦るではなく前腕をしっかり返す事がミソです。

 

このドライブは前に打つためカウンターの隙を与えず、威力のあるボールを打つ事ができます。

 

 

※追記:また、この打法で重要なのは力を入れ過ぎないことです。インパクトからその後の返しは楽にスイングしましょう。(ボールの下を捉えることで相手の下回転による反発も利用できるため)

 

 

余談ですが、この打法だと硬いラバーがおススメです。

前腕を返す前にボヨーンと飛んでしまう柔らかいラバーだと強い上回転がかけられません。

いくつか試した中ではテナジー05、ファスタークG1、V15エキストラ、Q3が非常に良い感覚でした。中国ラバーも相性バッチリです。

 

 

▪️今日伝えたいこと

・バックスイングは下ではなく、手前に引き、その下からボールに向かってスイングを始めましょう

インパクトはボールのやや下を膝の屈伸を使って捉えましょう

・ボールを捉える位置はバウンド直後、もしくは頂点前です

インパクト後は前腕を返し、返した直後に肘を引いてニュートラルに戻りましょう

 

バックドライブは難しいという概念が消えるはずです。

 

是非トライしてみて下さい。

 

 

それでは今日も卓球ができる喜びをかみしめて。

 

 

ムー

 

 

 

【技術】楽にフォアドライブを打とう -強烈下回転は怖くない-

卓人の皆さんこんにちは。ムーです。

 

これまで練習の仕方や意識など紹介してきましたが、基本的な技術はあまり言及してきませんでした。

 

今日は皆さん恐らく最も拘りを持ち、意識的に練習を多くされているであろうドライブについてご紹介します。今日はフォア編にしたいと思います。

 

 

初級者の方は是非基礎として取り入れてみてください。

中級者の方は今より楽な打ち方になる方が多いと思います。その後のプレーをスムーズに行うためにも是非トライしてみてください。

 

 

まず、

 

 

初中級者の方に見られがちなドライブとはどのような特徴があるでしょう?

・体重を利き脚に深く掛け、インパクトと同時に逆の足に全重心を移動させる

・ラケットを斜め後方に下げ、バックスイングを取る

・ボールが頂点から落ちてきたところをインパクトする

・相手の下回転が強いとループドライブしか打てない、ボールがネットを越えない

 ・ドライブコースによって体を閉じたり開いたりするためコースが分かりやすい

 

 

当てはまる動作や特徴はありますか?

これらが全て悪いわけではありません。もちろんトップ選手にも重心を大きく移動させたり、腰よりも下げたバックスイングをしたり、頂点から落ちてきたところをインパクトするなどの打ち方をしている方はいます。

 

 

ただし意図的に使い分けができている点が上級者たる所以です。

そして"あるポイントだけは常に一定"である、このポイントが非常に大事です。

 

 

今日は

"下回転が強くても楽に"

"威力があり"

"コースが分かりにくく"

"カウンターをされにくい"

ドライブを打つ方法についてご紹介したいと思います。

 

 

まず2枚の写真をご紹介します。(世界の技 発行:卓球王国)

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中国女子の一時代を築いた王楠選手のフォアハンドスピードドライブです。

※オリンピックにて合計5個のメダル(うち金4個)、世界選手権にて合計20個のメダル(うち金15個)獲得

女子卓球の特徴として台に張り付いて、ピッチが速いというものがありますが、現代において男子もこのような高速卓球化の流れにあります。

ヒントがありそうですね。

 

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こちらもペンドラとして一時代を築いた韓国のキムテクス選手です。

※オリンピックにて合計2個のメダル、世界選手権にて合計10個のメダル獲得

当時最速で120km/hのドライブを打っていたとのことです。先日のTリーグで日本のトップ選手のスピードドライブが大体70km/hとのことだったのでその規格外なスピードに驚かされます。

 

この2枚の写真にあるヒントが隠されています。後ほどご説明します。

 

これからお話しする要素を実践して頂くと、トップ選手の打つドライブに近い形になると思います。

 

 

 

 

 

まずはドライブについてですがスピードドライブとループドライブに大きく分けられますね。スピードは前へ、ループは上へスイングする皆さんのイメージ通りだと思います。

 

よくお見受けする傾向として、ループドライブは得意だけど(安定感があるけど)スピードドライブがなかなか上手く打てない、またその逆も然りで、どちらかできるけどどちらかは安定しないという方が多い印象です。

 

これらの方々が持つ特徴としてループ系とスピード系を同じものとして考えてしまっていることが多いような気がします。

 

しかしドライブとはループもスピードも”上回転”をかける技術ですよね。

 

この上回転をかけるという点は同じです。しかし片方はできて、片方はできない、となってしまうのはなぜでしょうか。

 

これは”ドライブ=擦る”という概念に縛られすぎてしまっている方に見られがちな特徴です。

 

例えば卓球を始めたて、基本が出来てきた方に、バックスピンいわゆる下回転のボールを出すとします。ラケット面を立てて当てると、もちろんボールは真下へ落ちます。

 

これを相手のコートに入れる打ち方をしてもらうと回転をかけ直す、いわゆる擦って持ち上げる方(ほぼ10割)とラケット面を上に向けてボールの下から弾いて持ち上げる方がいます。

 

ここで多くの方は擦り上げるという選択をし、そのままドライブ=擦り上げるという認識が固定してしまいます。

 

すると上に擦り上げるためループ系のドライブは自然と打てるようになります。

 

しかし、今度前に飛ばすスピードドライブを打って貰うと、擦るイメージが強いがゆえ、ラケット面を寝かせたまま前に振ろうとします。

するとネットに引っ掛けます。

さらに回転に負けまいと大きくバックスイングを取り、

全体重をかけ、

ガチガチに力を込めパワーで前に飛ばそうとして、安定感のない状態になってしまいます。

 

これがスピードドライブが苦手な人の思考メカニズムです。
 

 

図で示すとこのような状態です。

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では、どのような意識を持ち、どのようにスイングをすると楽に下回転を持ち上げることができるでしょう。

 

最も重要なポイントはループもスピードドライブもインパクトの瞬間は面を立て相手にフォア面が見える状態であること、瞬間的にボールを面で迎える、すなわちインパクトは同様ということです。これがトップ選手のドライブでループとスピードドライブに共通しているポイントの答えです。

 

実は上の絵において既にループドライブについてはその状態になっています。

 

ではスピードドライブでインパクト時に面を立てるとどうなりますか?

前に振らなければならないのですが。。。

再度絵でご説明します。

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まず簡単にポイントだけ説明するとスピードドライブもインパクト時はラケット面を立て、打球と同時に面を被せる、ということです。

 

あれ?先ほど面を立てて当てると下に落ちると言ったじゃないか、と言われそうですよね。そうです、ここにカラクリがあります。

 

ここで再度、王楠選手、キムテクス選手のスイングを見て下さい。

王楠選手は体で隠れてこの写真では分かりませんが(動画等を見て頂けるとよく分かります)、キムテクス選手もバックスイング時に台より下にラケットを下げず、台と並行に引きラケット面が下を向いています

 

この動作から始まるスイングと合わせて、ボールを捉える位置をあるポイントに決めてあげると強い下回転のボールに対して楽にスピードドライブが打てるようになります。

 

スイング、ボールを捉える位置についてそれぞれ説明します。

 

■スイングについて

先に答えを言うと、「8の字打法」「∞打法」という打ち方です。前者は日本卓球界のレジェンド高島規郎氏が提唱されている打法です。

※∞打法は私が勝手にそう言っており、8の字打法に影響されているのは言うまでもありません。

 

どのようなスイングか、再度絵で紹介します。

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少し大げさに書きましたが、①→②の軌道はコンパクトに、③→④はしっかりとおでこまでしっかりスイングしてください。

「後ろ小さく、前大きく」です。

 

軌道を赤の実線で書きましたが、8や∞のような軌道となっていますよね。

これが8の字打法と言われる所以です。

 

このスイングのメリット

・ラケットを水平に引き、下から出すことでインパクト時に勝手に面が立ち、コンパクトなバックスイングで十分なインパクト量を確保できる

インパクト後に面をかぶせることで上回転がかかる

"擦る"ではなく"ラケットをかぶせながら前に出す"ことで打球が低く、威力が出る

インパクト時に上に擦り上げれば同じスイングからループドライブも打てる

・体の構造に合わせた一連の流れでスムーズな動き、連打が可能

 

 

さらにコンパクトにするために、②から始めても構いません。

その場合はラケットを真下にバックスイングすることを意識すると良いです。斜めに引いてしまうと始めに紹介した、面をかぶせてそのまま擦りにいってしまいがちです。

 

ラケットを真下に下ろしてインパクトの強いスピードドライブ、ループドライブを打ち分けているのが最近で言うと馬龍選手や樊振東選手です。

 

 

 

ただし始めは①のように水平にラケットを引くと勝手に面が立ってくれるためこちらをお勧めします。

ラケットを引く際、面を寝かせたり、立てたままだったりなどはやりやすい方で良いと思います。

 

また、スイングの後ろに引く動作でボールのタイミングに合わせやすいというメリットもあります。

 

ボールに合わせてスイングする事が重要と以前よりお話ししてますが、自コートでバウンドするかしないかのタイミングでラケットを引き始めるとボールに逆らう事なく無理なく打球出来ます

 

 

 

■ボールを捉える位置について

これは自コートでボールがバウンドして頂点が見える前が最もインパクト時に力を使わずに済みます。

 

以前もお話ししましたが、ボールはバウンド時が最もボールの回転が少なく、頂点過ぎたあたりで回転量が最大になります

 

ですので相手の下回転量が少ない頂点前を捉えましょう。バウンド直後のライジングも大歓迎です。

 

また、ボール内の打球ポイントですが、下絵を参考にしてください。

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横から見た絵になりますが、気持ちボールの下寄りを捉えるイメージが最も下回転に負けない領域になります。

 

何度も言いますがボールの上を捉えてしまうと下回転に負けない回転量のスイングが必要になりますので非常にパワーを使ってしまい非効率です。

 

自コートでのバウンドが頂点が低い場合などは、ボールの下に潜り込ませるよう自身の体勢を膝の屈伸を使って下げましょう。

 

この少し下側を捉えることは相手の下回転を使って前に飛ばすという点においても合理的です。

 

初級者で下回転を持ち上げる時に上に擦る派(ほぼ10割)とラケット面を上に向けて上に弾く派がいると話をしました。

後者をやってみてください。ラケット面に当たるだけで勝手にボールは相手コートめがけて飛んでいきます。

これは相手の下回転を使っているからです。

 

この原理を先ほどのスイングと合わせて使ってあげると、半分は相手の下回転の力でドライブが打ててしまうため、力をほとんど必要としません

 

 

少し長くなりましたがここまでが下回転に対するドライブの基本打法です。

 

 

ここで少し道具の話を挟みますが、実はこの打法は硬いラバーの方がやりやすいという特徴があります。柔らかいとインパクト時の感触が伝わってこずにボワーンと勝手にボールが飛んで行ってしまうためです。

 

柔らかいラバーとは擦り打ちをするのに適した(インパクトが強くなくても食い込んでくれる)ラバーである反面威力が出にくいデメリットがあります。

 

この打法を習得し、もう一段階硬いラバーを使って威力のあるボールを打ってみませんか?

 

 

 

脱線しましたが、ここまで出来れば後はコースの振り分けは簡単です。

 

 

インパクト時にラケットヘッドを先に出すイメージだとクロスに、ヘッドを遅れて出してあげるイメージだとストレートに打てます

 

インパクト時の動きだけで打ち分けるため相手はコースが非常に読みづらいです。

カウンターされる確率もグッと下がるはずです。

 

 

 

 

最後に始めに書いた初中級者のドライブの特徴を改造すると以下のようになります。

これを本日の伝えたいこととしたいと思います。

 

■本日の伝えたいこと

・体重を利き脚に深く掛け、インパクトと同時に逆の足に全重心を移動させる

→過度な重心移動は不要です。ボールの下側をインパクトするために必要程度体を下げ、起き上がるくらいの重心移動で十分です。

・ラケットを斜め後方に下げ、バックスイングを取る

→ラケットは水平に引いてコンパクトに下から出しインパクト時はラケット面を立てましょう。

・ボールが頂点から落ちてきたところをインパクトする

→最も相手の回転の影響の少ない頂点前、もしくはバウンド直後をインパクトしましょう。

・相手の下回転が強いとループドライブしか打てない、ボールがネットを越えない

→頂点前のボールを下からすくうイメージで、インパクト後は面をかぶせ、相手の回転を利用してドライブを打ちましょう。

 ・ドライブコースによって体を閉じたり開いたりするためコースが分かりやすい

インパクト時にラケットヘッドを先に出す、もしくはヘッドを遅らせるかの使い分けでコース分けしましょう。

 

 

以上になります。

 

あまり聞き慣れない打ち方のように思えるかもしれませんが、実は海外のトップ選手(特に中国)が多く取り入れている打法です。

 

なぜあんなに力感無く楽にドライブが打てるのか不思議に思っていた方も多いのではないでしょうか。

 

威力をさらに上げるとなれば話は別ですが、強靭なフィジカルは必要ありません。

 

それよりもコンパクトなバックスイングから打点の早いスピードドライブで相手のタイミングを狂わせましょう

 

カウンターも受けにくくきっと面白いほど楽にドライブが打てるようになりますよ。

 

少し分かりにくかったかもしれませんが、不明点などあればコメント下さい。

 

次はバックドライブについても書きたいと思います。

 

 

それでは本日も卓球ができる喜びをかみしめて。

 

 

ムー

【考え方】練習の質を上げよう -練習のための練習からの脱却-

卓人の皆さんこんにちは。ムーです。

 

Tリーグも開幕し、怒涛のように連日試合が組まれているのですね。少しビックリしました。

 

私はTV中継のあった試合しか観ていないのですが、今回の話に繋がるTリーグからの気づきを共有させていただきたいと思います。

 

 

 

それはトップ選手の返球するボール(サーブ含め)の深さ(長さ)、コースです。

 

皆さんサーブの長さに拘りをお持ちですか?

ドライブやスマッシュは深さ、コースをどの程度意識してますか?

 

サーブについてですが近年の傾向として、トップ選手はさほど短く出しているようには見えません。2バウンド目が台から出るか出ないか、もしくはミドルにロングサーブという光景をよく目にします。

 

特に2バウンド目が台から出るか出ないかのサーブの特徴は球足が速いことです。

 

これはチキータが広く普及してきたことが影響していると考えられます。距離感が取りづらく、溜めを作らせないためにこのような形になってきているのでしょう。

 

また両ハンドを巧みに強打出来る選手が増えてきている中でミドルへのロングサーブは非常に有効です。

 

相手に先手を奪われないようなサーブを出していますね。

 

 

 

次に攻撃、カットともにサイド、エンドラインに決まる、狙う技術の高さです。

 

これも相手の体勢を詰まらせ、万全の体勢で打球させないためには重要です。

 

また相手の立ち位置によって打つ場所を瞬時に決める技術も試合などでは視野が狭くなりがちですので高度な技です。

 

セル時代ほどボールのスピードが上がらないので1発で決めに行くためにはこのような状況判断やサイドを切る技術はとても重要です。

 

野球でも同様のことが言えますよね。

135km/hのストレートしか投げられなくてもコントロールが抜群に良ければ打たれない、一方160km/hのボールでもコースが悪いと打たれるのと同様です。

 

TV中継でスピード表示やボールの軌道を線で追うのはビギナーさんには大変良い仕掛けだと思います。

合わせて試合後など攻撃が決まった場所を台上にマップで示してくれるとプロの凄さが際立って皆さんのような熱心な方向けにはいいのではないかとも思います。

 

 

 

 

本題に入りますね。

 

 

 

 

先ほど述べたようにトップ選手や強い選手は地味ですが細やかなところの技術がとても高いことがわかります。

 

やはりそこに拘って練習をしているからこその技術だと思います。

 

では練習で違う何かがあるのでしょうか。私はメニュー内容自体はあまり一般の方達と変わりはないと考えています。

 

一方で彼らは試合で勝つことが至上命題です。

そのため理想としている技術を会得し、相手から点を奪い取るための意識が人一倍強いのだと思います。

 

 

 

では一般の我々が相手から点を奪い取るためにどの様な意識で練習をすればいいのでしょうか。

 

 

 

 

”練習のための練習”になっている可能性はありませんか?

 

 

 

 

難しいことをする必要はありません。

普段の練習に"意識"を追加しましょう。

これから普段の練習でオススメの意識を3つ紹介します。

意識を変えることで練習の質はご自身次第で何倍にも向上させることができますよ。

 

 

 

①ドライブ、カット練習での意識

 

だいたい練習の中でフォア打ちの次くらいに練習するメニューですよね。

 

この練習の中ではどのような意識で練習すれば良いでしょうか。

 

ポイントは複数種類のドライブ(カット)を使い分ける、そしてコースへの意識です。

 

1つ目はカーブやシュート回転のない純粋な縦回転のドライブ(カット)をエンドラインに狙いましょう。

まずは縦回転の球筋で安定したボールが打てるようになったらフォア、ミドル、バックの3点に打ち分けましょう。フォアから、バックからなど自分の立ち位置も変えるとなお良いです。

 

カーブやシュート回転が入るとコースを正確に狙いにくくなるため、綺麗な縦回転のドライブは試合中連打で攻める際に重要な技術となります。

 

2つ目はフォア前中陣からカーブドライブをサイドラインに狙う意識です。

これはカウンターや相手の体勢を崩す、1発で決めるために重要です。

 

3つ目はバック前中陣からシュートドライブをサイドラインに狙う意識です。

カーブ同様、相手の体勢を崩したり、1発で決めに行くのに有効な技術です。

 

さらに実践的にするのであれば、縦回転ドライブを数球連打し、相手のブロックが浮いたボールをカーブ、シュートで打ち抜くのが良いでしょう。実際に試合ではカーブ、シュートドライブを連続して打つケースは少ないためです。

 

基本のドライブやカットだけでもこれだけ意識的に分け、試合で使い分けることで相手を崩し得点力だけで無くプレーの幅、安定感が増します。

 

 

 

②ツッツキ練習における意識

 

以前にも少し書きましたが、ツッツキは①で練習したドライブを最大限に使うためにとても重要な技術です。

 

ではどのような意識で練習すれば良いでしょうか。

 

ポイントは攻めるためのツッツキを1発で正確に入れる意識です。

 

ストップを始めたらストップだけを行うのではなく、途中で攻めるツッツキを入れましょう。

 

例えばレシーブをする方が仕掛ける、などと決め事を作っておき、4球目以降どこかで深くエンドラインを狙った鋭いツッツキを打つと良いです。

 

相手が詰まって、返ってきたボールが高い場合はそのまま①で練習したドライブで打ち抜きましょう。

 

ツッツキをした側は相手を詰まらせることができたら(強打ができるボールが返ってきたら)バッチリです。

 

ツッツキに関しては連続してツッツキ合いしても中級者以降はあまり意味がありません。試合で長々とツッツキ合いをすることはないですよね。

 

先に攻める、と決めた時に正確に鋭いツッツキができることが重要です。

 

 

 

③システム練習における意識

 

自分のサーブから3球目や5球目攻撃など固定したパターンを繰り返し練習することは皆さんもよくされていると思います。

 

この練習をさらに実戦に近い緊張感の中で行うための意識についてです。

 

常に”打ちやすいサーブは相手に主導権を奪われる”という意識でサーブを出しましょう。

もっとも集中すべきは3球目でも5球目でもなくサーブに最大限意識を置くことです。

 

例えば、下回転サーブを相手のバックに出す→バックにツッツキをしてもらう→3球目攻撃というシステムで練習するとします。

 

その際、相手にはサーブの2バウンド目が台から大きく出る場合は2球目から攻撃、サーブが短かすぎる、また高い場合はストップやチキータをしてもらいましょう。

※注意:相手の方は仮に主導権を奪う場合、決してミスをしてはいけないという意識が必要です。あくまで練習パートナーのための動作であることを忘れてはいけません。

 

この例では相手に”ツッツキしかできない”と思われるようなサーブを出すことがポイントです。

 

もっとも怖いのはイメージしたサーブが出せずに相手のペースに持ち込まれてしまうことです。

 

このような相手に先手を取られないサーブについては普段から時間をとって意識して練習する必要があります。意識さえ持って練習すれば短時間で構いません。

 

 

 

 

■今日伝えたかったこと

・試合で使える技術力を高める練習を行うためにはボールの深さやコースに意識をおきましょう。

→ドライブやカットは基本はエンドラインを狙いコースを打ち分ける。チャンスボールはサイドラインを狙いカーブ、シュートドライブを駆使しましょう。

→ツッツキは相手の体勢を崩すため1発で鋭くエンドラインを狙いましょう。

→システム練習を行う際は攻撃側に負荷をかけるため相手に甘いボールは先手を取ってもらいましょう。そうならないようにサーブに最大限の集中力を使いましょう。

 

 

本日は以上になります。

 

普段の練習の中で、いかに試合の状況で使える技術を訓練することが点を相手から奪う近道です。

 

もし普段行っているシステム練習でどのような意識、練習方法をすれば良いかアドバイスが必要な方はお気軽にコメント欄、ツイッターから質問してくださいね。

 

それでは本日も卓球ができる喜びをかみしめて。

 

 

P.S. 本当にありがたいことに毎日多くの皆様に当ブログを見て頂いております。こんな技術、考え方が知りたい等ありましたらコメント欄、ツイッターにてリクエスト下さい。出来る限り優先的に記事にしていきたいと思います。

 

 

ムー